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Stage12-2 森の島


五島列島 始まりの島 頭が島。

美しい教会が建つこの島でさえ、住宅街は草木に覆い隠されている。太いつるが教会の窓に刺さっており、廃墟を強く象徴している。

頭ヶ島というこの島、人口は数十名。住人が言うには、自然が綺麗な島という理由で今では森の島と呼ばれているらしい。

残った人類が住めるのも、森の神様のお陰だと言う。もしかするとそれがまくとぅなのでは?と脳裏を過ぎる。

野生動物の鳴き声や威嚇が響く中、俺達は森の入口に到着した。

【今あり2】の時の景色と構造はほぼ同じだ。暫く何も無い道が続いて、吊り橋が見えてくる。しかし、吊り橋の奥にまくとぅの姿は無かった。

「なぁ、ここを抜けたらもう森の島は終わるんじゃないのか?」

「確かそういう話でしたよね。吊り橋を渡れば次の島だって。」

ミシミシと気の軋む音をたてながら、俺達は吊り橋を渡り切る。

そして、道なりに進み、再び森の中へと入った時だった。壮大な魔法と虫達の攻防戦が繰り広げれていた。

「まくとぅ!腕、落ちたんじゃないですか?」

「うるさいッ!」

まくとぅと闘っていたのは、さーたーだった。

「さーたーっ!」

「ア、アルミ!?」

「さーたー!無事だったんだ!」

「リズまで…積もる話もありそうですね。同窓会はまずまくとぅを止めてからです!」

そう言うと、再び魔法と虫の交差が始まった。見ていると明らかに押しているのはさーたーだった。

「…クソッ…虫達を操る力が…。」

俺やリズと闘った後の状態なら魔力量が減っていてもおかしくない。ペルピアンジャイアントオオムカデ、大きさや威力は相当なものだが、当然魔力消費量も大きいのだろう。

「トドメいきます!ファイヤーストームッ!」

炎の竜巻が出現し、まくとぅと虫を取り囲んだ。騒音の中、まくとぅや虫の悲鳴が轟く。竜巻が消え去る頃には、虫は全て消滅し、まくとぅは黒ずんだ状態で立ち尽くしていた。

「…私…は…さーたーにまで…負け…」

途切れる言葉は最後まで発すること無く、まくとぅは力尽きた。すると、まくとぅの全身から剥がれ落ちるように黒いもやが抜けていった。

「…何だこの黒いもやは。」

「分かりません、でもこれに操られていたのは間違いないわね。それにしても…」

さーたーはリズの顔を見て顔を顰める。

「…リズってあの場に呼ばれてたっけ?」

リズはこれまでの経緯を説明した。

「…なるほどね。じゃあ貴方達もまくとぅに負けたわけだ。」

俺達は認めざるを得なかった。さーたーは何かを企んだような悪い表情で交互に顔を見る。

「…私よりも弱いんじゃ?」

こんなに挑発する奴だったかと俺は過去のさーたーを思い返した。いや、もっとお淑やかだったはずだ。

「もういいでしょ。さーたー、そろそろ何故貴方がここにいるのかも教えてよ。」

「あの火山の噴火に巻き込まれた私は、この島を彷徨っていたんです。幸い死にはしなかったですけど、かなりのダメージを受けました。私は反対の島から慎重に足を進めたんですが、この島に辿り着いてまくとぅと鉢合わせてしまったんです。でも分かったことが一つ、五つの島には神様がいて、それに皆が巻き込まれていることを知ったの。まくとぅがこの森の島の神であるようにね。」

さーたーの言っている事が本当であれば、全ての島の神様が皆の内の誰かで、倒さない限り物語は進行しない事になる。

「他の島の神は、誰かわかるのか?」

さーたーは渋い顔を浮かべながらも頷いた。

「まず森の島はまくとぅ。次に繋がる島は雪国島、そこにはメグミが暮らしていた。普段通りに見えたけど、様子が変だったから話しかけなかったわ。そして光島、そこにはユウヤがいた。天使の翼を広げて島を見渡していた。最後に雷鳴島、ここにはサンがいた。唯一見ていないのは、なんくるとハンモクだけ。」

俺達はなんくるやレイラが攫われた事を伝えた。

「…そうなると黒幕はもう絞られてくる。なんくるかハンモクでしょうね。黒幕の元にライトもいるんじゃないかな。」

こうして俺達は、確証のない推理を終え、まくとぅを寝かせたまま次の雪国島へと向かった。


「来ましたね…お兄ちゃん…。」

雪国島の崖から見下ろすメグミの眼は赤く、血の涙を流して微笑んでいた。


次回もお楽しみに!

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