Stage11-14 この運命に結末を
「なぁ、まくとぅ。俺達と一緒に、なんくるやレイラを助けに行ってくれないか?」
まくとぅは笑顔のまま、首を左右に振った。
「まくとぅさん!?どうしてですか!?」
「…私はもう、この島からは出られない。」
「ど、どうして!?」
まくとぅの笑顔は、数ヶ月前とは違った。それはまるで何かに操られているかのように、別人に思えた。
「分かった、何かを問い掛けるのはやめよう。悪いがその先に用があるんだ。道を開けて欲しい。」
「…それも出来ません。だって…私達は…」
一瞬、まくとぅの表情が暗くなったように感じた。しかし、すぐに笑顔でこちらを見直した。
「…私はこの島を守る神としてここに立っている。貴様らのような悪党を通す訳にはいかない!」
「まくとぅさん!どうしちゃったんですか!?」
リズの言葉を遮るように、まくとぅは手笛で虫達を呼び寄せた。
ペルビアンジャイアントオオムカデを先頭に、様々な虫達がまくとぅの元へと集まってきた。
「…行きなさい。あの二人を殺すのです!」
「まくとぅ。そんな姿、兄貴に見せられるのか?」
俺の言葉に一瞬動きが止まるも、再び虫達へ合図を送った。
「…先輩…まくとぅさんどうしちゃったの?」
「さぁな。少なくとも俺達と離れてから何かあったのは間違いなさそうだが。」
リズと話している間にペルビアンジャイアントオオムカデが吊り橋に乗り、こちらへと向かってきた。同時に吊り橋に重さが掛かり、中心に移動するにつれて吊り橋のロープがはち切れそうになっていた。何を思っているのか分からない程の奇声を発し、力強くその場から飛び上がった。
「先輩!どうしますか!!」
「大丈夫だ。サイコキネシスッ!」
空中へ飛び上がったペルビアンジャイアントオオムカデはこちらへ向かって落ちてきていたが、サイコキネシスにより途中で動きが止まった。俺からリズへ指示を送ろうとするも、リズは既に行動へと移していた。
「スピクタル!バイアップ!俊足!」
リズは技を唱えると同時に俊足でペルビアンジャイアントオオムカデとの距離を詰めた。
「双剣乱舞ッ!」
双剣乱舞は、アジリティが底上げ状態で、俊足などの見えない速さで至る方向から双剣で何度も切り付ける技だ。
リズに切り付けられたペルビアンジャイアントオオムカデは、その場で奇声を上げ続けた。サイコキネシスでゆっくりと吊り橋まで降ろすが、まだ僅かに息はしていた。これほどの大ダメージを与えても体力ゲージを削り切れないとは、相手がまくとぅという事もあるが、レベル差というやつだろうか。
リズも吊り橋へと着地し、息を荒げている。
「リズッ!大丈夫かッ!」
俺は鞄に入っていた薬草を投げた。
「…な…なんとか。」
薬草を使用するも、薬草での回復はごく僅かだ。もうリズの体力は限界、ペルビアンジャイアントオオムカデが動き出せばリズに勝ち目は無い。
俺は全身から紫色と水色の気力を放った。
「…まくとぅ…手加減は出来ねぇからな。」
「やれるものならやってみなぁ!」
俺は心を鬼にして、自身の最強の技を解き放つ事を決心した。
次第に紫色と水色の気力が集まった球体が出現し始めていた。そして、その球体を思い切りまくとぅやペルビアンジャイアントオオムカデ目掛けて蹴り飛ばした。
「俺の必殺技だ!喰らえッ!ラスト・リゾートッ!」
球体からは二色を纏った龍が出現し、まくとぅやペルビアンジャイアントオオムカデの方向へ向かっていった。それは本当の龍のように天候を変化させ、大雨状態へと変えた。大地も少しずつ揺れ始め、振動に合わせるように龍も小刻みに揺れ動いていた。
次回もお楽しみに!