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Stage11-5 落下先


砂漠の地下神殿、第三フロア。

決まった名称はない為、第三フロアと命名した。

このフロアは目立った仕掛けは無い。しかし、地下神殿は甘くなかった。残酷な試練を俺達に課せたのだ。

「…何なのこれ。」

フロア一帯に死体の山が広がっている。積み重なった死体は、下にいくほど白骨化が進行しているようだ。腐り始めている死体もある為、死臭が漂っている。その奥に次のフロアへ続く階段がある。

空間全体を見渡すも、明らかな仕掛けは無い。しかし、死体の上を歩いて行かなければいけない。白骨化や腐敗の進行によっては崩れ落ちる可能性さえある。そうなれば死体の山の生き埋め状態となってしまう。

そんな中、カルトが鞄の中からボールのような物を取り出し、高く投げた。すると、ボールは弾け飛んだ。壁から矢が出る罠になっていたのだ。

「…ひえぇ。危うく浮遊技使う所だった。」

「カルト、ナイス判断!」

怯えるカルトにフォローをいれるレイラ。どうやら俺の落胆によって、二人は落ち着いたようだ。

「さて、浮いて渡れないとなるとこの死体の山を歩かなければならない。体重の軽い順に行った方が良いだろう。」

レイラ、カルト、俺の順にこの場を渡る事になった。俺達は見ず知らずの者の上を心の中で謝罪しながら踏み付けて渡り続けた。しかし、半分程渡った所でレイラが足を止めた。

「レイラ?どうした?」

レイラの反応は無い。よく見るとレイラの背中は震えていた。視線が下を向いていた為、俺も同じ方向を見た。そこには、真っ二つになった血まみれのサカイの死体があった。

「……ん…うぷっ!?」

レイラは耐えきれず、サカイの上で嗚咽を漏らした。しかし、一度嘔吐している為、ほぼ胃液しか出ていなかった。サカイに掛かった胃液は、涙のように見えた。レイラは涙と鼻水を流しながら、軽い過呼吸になっていた。俺は黙って見ていられず、カルトと順番を代わってもらい、レイラに駆け寄った。

「レイラ、落ち着け。大丈夫だ。」

レイラはゆっくりと振り向き、俺の顔を見て安心した様子だった。

その後、レイラのペースに合わせながら俺達はゆっくりと死体の山を渡り歩いた。途中、目の合った二人の死体には見覚えがあったが、既に腐敗が進み始めていた。俺とカルトは、心の中で手を合わせ、レイラには伝えずに進み続けた。

以降、無心で渡り続けた結果、俺達は無事に向こう岸に辿り着く事が出来た。俺達はその場に腰を下ろし、ゆっくりと呼吸を整えた。

「…レイラ…大丈夫か?」

「…何…とか。」

俺はレイラに手を差し出し、階段を上り始めた。俺達が今いる場所から更に階段があり、上り切ると洞窟がある構造になっている。

「カルト、落ち着いたら上って来いよ。」

「了解っす船長。」

…この時、カルトをすぐに連れて来るべきだった。


カルトの背後に忍び寄る影。

振り返るカルトは絶望する。そこに居たのは、前のフロアにいた巨大な青い人型の怪物だったのだ。怪物の顔は砕けたままだ。

「…あ…あ…せっ、船長ォッ!!!」

怪物はカルトの腹部を手で握りながら持ち上げる。

「や、やめ、やめろっ!離せ離せ離せぇッ!」

カルトは様々な魔法を放つも、怪物は微動だにしない。

「…船長…やっぱり…。」

カルトは怪物に握り潰された。その瞬間、眼球は飛び出し、穴という穴から出血があった。

俺達の所までカルトの悲鳴は聴こえた。急いで駆け付けた時には、カルトは既に怪物に頭から少しずつ食べられていた。

「…いや…嘘…カルト…。」

俺は、油断した。

また仲間を一人失ってしまった。


悲痛の叫びと共に放たれた波動は、これまでで一番痛かった。


次回もお楽しみに!

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