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Stage1-1 来世が無理なら今世こそ!

【来世は幸せでありますように】の続編作品になります。

まだ読んだ事無い方は、【来世は幸せでありますように】から読んでみてください!

本作からでも楽しめるよう書かせて頂きました。

ご愛読よろしくお願いします!

レトロゲームの音楽が狭い部屋の中を反復している。

近所迷惑などと考える暇がないほどに、伝説のクソゲー【来世は幸せでありますように。】に熱中しているのは、本作主人公有海浩太17歳である。


「おいマジか、これもう終わる展開じゃね?バッドエンドくせぇぇぇ。」


【来世は幸せでありますように】定価4998円のレトロゲームなのだが、とにかくクソゲーとして有名だ。

まあ簡単に言うと過去を変えるためにタイムリープする話なんだが、何せ選択ルートが多すぎるのだ。

有名過ぎて現在の販売価格は10250円とかなりのレアゲームと化している。発売から五十年が経過しているにも関わらず、当時の倍の金額だ。


ーーー警察や救急車が着く頃には、既に有海浩太は死亡していた。


「おいおいおいッ!死んでんじゃねぇか!神回避とかねぇのかよ!おい!」

ちなみにこのゲームの攻略本の販売価格は3500円、地味にお高いのである。

古すぎるあまり、このゲームの攻略情報などネットにはほとんどない。

攻略本必須ゲーなのだが、ゲームソフトと合わせて約14000円。決して安くは無い。

結論、勘が頼りなのである。


「あぁ…クソ、スタッフロール入った。」


このゲームがクソゲーと言われる具体的な理由。

一つ目、製作者が伏線貼り過ぎて前半はマジで意味不明。

二つ目、伏線回収が忙しすぎて展開がクソ早い。正直やった気がしない。

三つ目、展開早いくせに正規ルートは一つのみ。残りの122通りはバッドエンド。

四つ目、選択が当たっているのか間違っているのか分かりにくいほど人が死ぬ。

五つ目、トゥルールートでの攻略者は一人もいないと言われている。


始めは誰しもが「我こそは!!」と挑戦した。

そして、全員の心を折り返り討ちにした。

正直、魔界村と良い勝負であろう。

もはや難しすぎて神ゲーなのでは?と思い始めている。


そして、今は無駄に長いスタッフロールが終わるのを待っている。



『【来世は幸せでありますように】の世界は楽しんでもらえたまり?』

気付けばスタッフロールが終わっていた。

画面には何ともメルヘンな世界観、マシュマロ風のメリーゴーランドの背景が広がっている。

その中心にいるのが【来世は幸せでありますように】のお助けキャラ マーリッテという名の犬だ。

この犬はお助けキャラを名乗っているが、俺はそんなお助けをされた覚えがない。


『それでは結果発表まり!今回貴方がクリアしたルートは…。』

「…頼む…頼むッ!」


『ナンバー74救われない男ルートまり!』

「…終わった」


このナンバーはクリアしたルートの難易度を表している。

つまり、ナンバー123は一番簡単なバッドエンドルート。逆にナンバー1が唯一の正規ルートとなる。


「…ははっ…あなたはいつになったら正規を見せてくれるのマーリッテ…」


ちなみに、彼はこのゲームを三日間やり続けている。

本日で十周目をクリアしたが、ナンバー74が一番良い結果なのである。


「まあ順位が下がるよりはマシか。」

そう、決して負けてはいない。

有海浩太は着々と腕をあげていたのだった。


自室の窓を開け、空気の入れ替えを行なった。

そして、俺は爽やかに空を見上げた。


「十周目でナンバー74…うん!もう二度としないかな♪」

彼は販売価格10250円のゲームを丁寧に痛め付けた。



「なんか…良いゲームないかな。」

俺は今、タブレットをスライドさせながらネット情報を閲覧している。

特に好きなジャンルなどは無いが、話題になっているとつい手を付けてしまう癖がある。

それがどんな神ゲーであれクソゲーであれ、俺が面白ければ全て良しとする。

しかし…

「…八割がクソゲーだったんだよなぁ。」

俺はゲームの収納棚を見て溜息をついた。

タブレットをスライドしてどれほど時間が経ったであろう。

気になる程度のゲームはいくらでもあるのだが、俺は心底テンションの上がるゲームを求めているのだ。

「…おっ?」

新たなゲームの情報に俺は手が止まった。

【ゲーマーが述べる!ネット注目度ゲームランキング!】というサイトを開いているのだが、その第五十ハ位に気になるゲーム情報が乗っていた。


第五十八位 【今世は幸せでありますように!】

このゲームは前作【来世は幸せでありますように】の四十年後、つまり凡そ十年程前に発売されたゲームです。

通称【来あり】とも言われた伝説のクソゲー、株式会社パワフルVから販売されました。当時はそこそこ売れましたが、クソゲー過ぎてクレームの嵐だったとか…ごみ収集が追いつかない程だったとか…。五十年経った今の販売価格はなんと当時価格の二倍となっています!

そんな【来あり】の続編、略して【今あり】が十年前に発売されていたのです。ですが、【来あり】自体が古すぎて一部ゲーマーとマニアしか目を光らせませんでした。

今回順位は高くないですが、話題にあげるほどの内容にはなっております。

また、オープンワールド型のドラマチックアドベンチャー作品になっており、当時のレトロとは比にならないほどの作画です。

【来あり】の雰囲気もあり、ファンには堪らない作品になっています。


「なんだよこれっ!超上がるじゃねぇかっ!」

引き続き詳細を読み進めていく。


尚、ネタバレにならない程度にストーリーについて説明していく。

本作の主人公は五人います。その五人は生きている世界線が違い、各々の【悩】【謎】を解決していきます。時折、重大事件に巻き込まれる事もあります。何故、五人の視点で物語を進めていくのか、それぞれに何の関係があるのかは伏せておきます。

気になる方はぜひプレイしてきてください!

対応機種、PiiS IV(ピースフォー)、VR型ゴーグルをご使用ください。

※本作品は完全クリアしないとゲームの世界から出てこられない仕様になっておりますのでご注意ください。


「超超超~面白そ〜ッ!!!」

俺は直ぐに財布を持って自室を出た。

「母さん、ちょっと出てくる〜!」

返事を聞かずに俺はゲームショップへと急いだ。

「来世は無理だったけど、今世こそはクリアしてやるっ!」

次回

Stage1-2 クソゲーじゃねぇかッ!

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