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【連載版】八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます  作者: 海夏世もみじ
第3-3章 独立戦線〜漢どもが夢の里へ〜
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第59話

 散々おもちゃにされてようやく解放された後、本格的に解決策を考え始めた。


「どうするかね……」


 ツリーハウスの屋根に腰をかけ、眼科の街並みを眺めながら頬杖をつく。


 僕がほぼ貴族も庶民も、所構わず全員を堕としたことによって国が回らなくなる……と言うことは今のところなく、逆に活性化さしているようだ。

 だが、僕がこの国から立ち去ったら何もかもうまくいかなくなり、すぐに政治など終焉を迎えるだろう。

 政治がままならずに衰退していけば、今まで虐げられてきた男エルフたちが反旗を翻し、今と真逆の構図へ……。


「僕が来る以前に、なかなか面倒な情勢だな……」


 いや、だが待てよ? これは逆に使えるのでは?

 埋もれていたパズルが見つかったかのように、一度思いついた次々と策が頭に展開する。


「うまく行くかはわかんないけど、これならいけるかもな……!」


 ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、屋根の上で腰を上げた。


「さて……リンネちゃん、いるんでしょ」

「……バレていましたのね」

「まぁね。そっちこそ僕が気づいてるって気がついてたくせに」


 後ろを振り向くと、そこにはリンネが立っている。気配を隠してついてきていたが、僕にはバレバレだった。

 だが今は丁度いい。リンネにも相談をしようと思っていたところだし。


「一つ頼みがあるんだけど、聞いてくれないかな?」

「もちろんですわ! 追いつくためならば協力も欠かせませんの」

「なら話は早い。僕がしようとしてることを端的に言うならば――この国から女尊男卑を無くす」

「ほほう?」


 女尊男卑が当たり前のこの国でこれを実行しようとするのは、もはや革命の域だろう。だが、ここまでしないと僕から独立してくれないと考えた。

 僕が女の子を堕とすのは、主に男らしいかっこよさを見せつけて懐柔するといった具合だ。それがこの国ではありえないほど刺さった……。つまり、男の良さを知ってもらえれば良い。

 ……僕が男に戻って全員食う()という案も出たが、別の問題が生じるので即却下。


「しかし、そう上手くいきますの? アスミは因果を変える魔術くらい持っているでしょう? それを使えば一瞬だと思うけれど」

「リンネちゃん、それは君が一番知っていることでしょう? 過去を変えようが、因果を変えようが、必ずどこかで〝歪〟が生じる。どこかで覚えてしまっている。その綻びから一気に崩れ落ちるかもしれないんだよ」

「……確かに、アスミはワタクシの体質に気づいていましたわね」


 時空間干渉や因果干渉系の魔術はメリットが大きいが、デメリットもあるってわけだ。

 しかも、魔力の流れに長けているエルフならば気づかれる可能性も高い。故に魔術による因果改変は無しだ。


「しかし、どうやって男女間で差別をなくすんですの?」

「エルフの女の子が討伐不可で、男の子と協力することでやっと討伐することができる魔物を王都に襲撃させる」

「なっ!? ば、バレたら死刑も免れないほどの重罪……。けれどそんな魔物はいないはずですの」

「いなければ、()()()()()


 幸いにも、こちら側には始祖であり頂に立つ神がいる。新種の魔物を作ることなど造作もない。

 ……神々のルールに反するかは知らないけど……。まぁ大丈夫だろ! ルクスは僕に返しきれない借りがあるしな。


「ワタクシは何をすればいいんですの?」

「あー、そのことで問題がるね。多くの女性たちは『リンネがなんとかすれば大丈夫』と思うだろうから、理由をつけて君をどこかに隠す」

「……ワタクシのやることなしですわ……」

「ごめんて……今度なんかしてあげるから」


 特異人イレギュラーのリンネ。そしてその付き添いである二人も同じように隠れているつもりだ。

 このことは王女にも話さなければならないが、まぁ大丈夫だろう。彼女、僕にはもう心の底から逆らえないし。


 傾国の美女になるつもりはない。一国を見捨てるわけにもいかない。

 そんじゃ、早速始めよう。


「――この国に、革命起こそうか」


 キュッとネクタイを締め、ツリーハウスから飛び降りた。

風邪ひいてて遅くなりました。ガハハ!(言い訳)


アスミ、重い腰を上げてようやく動きます。

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