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【連載版】八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます  作者: 海夏世もみじ
第3-2章 独立戦線〜亡霊の姫君と殺戮のパレード〜
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第50話

「う、うーん……?」


 思い瞼を開けると、そこには知らない天井が広がっていた。

 えーっと、確か昨日は犯罪組織を壊滅させて城に帰って、その後魔力回復のためにぶっ倒れて眠ったんだったな。


 どうやら空き部屋のベッドで寝かせてもらっていたらしい。シエルお嬢様の部屋のベッドには勝てていないが、なかなか心地のいいベッドだ。


「そういえば腹に穴を開けられていたけど、塞がったかな」


 ガバッとかけられている布団を捲るとそこには……。


『あっ、おにーさんおはよ〜♪』

「うわッ!!? な、なんでこんなとこにいんだニンファ!!!」


 にひひと白い歯を見せて笑うニンファは、ベッドに潜ってピッタリと僕にくっついていたのだ。

 寝ぼけていて気づかなかったが、体に感じていた妙に柔らかいものはコレだったらしい。ニンファを見て納得した。


『死んじゃわないか不安だったから、ずっと触れて温もりを感じてたかったの。……ダメ?』

「…………。はぁ、心配させて悪かった」

『にひひ! してやったり〜』


 ……なんか、色々と距離が縮まった気がする。僕を呼ぶ『おにーさん』もなんだか前より甘く感じるし。

 私情があって無理に敵陣に突っ込んだが、ニンファにはどう見えていたのか。自己中心的思想な僕の姿は、彼女の瞳に映っていないような気がする。


 僕が口をぎゅっと噤んで面倒ごとの予感をひしひしと感じていると、ドタドタと部屋の外から物音が聞こえてきた。


「ししょーー!!! 目が覚めましたかぁ!!?」

「うわぁああ! の、ノックぐらいしろシアン!!」


 いきなり部屋に入ってきたシアンに思わず驚き、反射的にニンファを隠すように抱き寄せて布団を被る。

 だがよくよく考えたら、今の彼女は誰にも見えていないから問題ないな……。


「す、すまんニンファ。思わず」

『ぁ……えっと、う、うん……』

「…………」


 パッと離すと、顔を赤らめて長い耳をピコピコと動かしているニンファが目に映った。

 満更でもなさそううな感じがするけどこれは……()()()()()()だ……。


「アッシュ! 目が覚めたようだな。……よ、よかったぁ……」

「悪いなノクテム。けどあんなんじゃ僕は死なないぞ?」

「それでも、だ! 我を心配させるでないわ阿呆!!」

「ゔわぁああああん! よがったです師匠ぅ!!!」


 心底安心して緊張が切れたように喋るノクテムと、泣きじゃくりながら僕に縋りつくシアン。

 かなり心配させてしまっていたらしいな。まぁ、勝手に行動した僕が悪いか。


「ん、アッシュ! 目が覚めたって聞いた。大丈夫?」

「い、イアまでどうしてここに……」


 おそらく【空間転移テレポート】でここまで来たのだろうけれど、なぜ僕が怪我したことを知っているんだ? 淫紋で僕の体調をチェックできるのだろうか?

 いや、だとしたらアイも来るはずだが……。


「お姉ちゃんはフィアンマ王国の王様に呼ばれたからあとで来るらしいよ」

「ああ、そうなのか。……ナチュラルに心を読まれた気がする……」

「なんのこと? ふふふ」


 まぁなんにせよ、無事に第一段階はクリアできた。けど、ニンファにかけられた魔術が解けただけ。根本的な呪いはまだかけられているまんまだ。

 次の行動に移す必要がある。


「ノクテム、ニンファの呪いの解析してくれたか?」

「あ、うむ! メイドの助けもあって、座標も名前も特定が完了しているぞ」

「おお、有能だな」

「しかし、場所が場所故にな……」


 ノクテムが渋い顔をする。何か問題があるらしいな。


「呪いをかけた人物がいるのは、高貴且つ女尊男卑が主流の国――エルフ公国だ」

「エルフ……」


 ちらりとニンファを横目に見る。

 エルフの国からエルフへの呪いとなると、様々な憶測が出てくるな。ドロドロとしたものが見えてきそうだ。


「我はまぁ……バレる危険性があるから行けんな」

「まぁノクテムは仕方ないだろうな。……けど、誰かにお願いするならせめてて3人くらいで行動はしてほしいな。イアは行けないのか?」

「ん……。実は、エルフ公国に行った時、魔術本が欲しくて宝物庫に不法侵入して出禁……」

「何してんだお前」


 イアって、媚薬を入れた食べ物自分で食べたりするし、結構ポンコツだよなぁ……。まさかそんなこともしていたとは。


「シエルお嬢様はお姫様だから無理で、アイは……まぁあの性格じゃ無理だろうな。シアンは?」

「ボクは半分魔物なので入国できないらしいです!」

「なかなか厳しい国なんだな」


 万事休す……とでも思ったか?

 うちの女性陣か全員ダメだったのなら、自分が行けばいい。


 男? ならば()()()()()()()

 そして、()()()()()()()()()()もいるしなぁ……!


 クックックと内心ほくそ笑みながら、計画を練り始める。

 さて、エルフ公国に進撃するとしますか!


「何か思いついたみたいだけど、まずは療養」

「え、必要な――」

「……私たちを不安にさせた罰として、看病されて♡」


 イアにそんな耳打ちをされた。

 ……エルフの国に行く前に、精魂尽きるかもしれない……。

ということで3-2章終了です!

ニンファちゃんの本格加入は3-3章終わってからかな。そして次の章はアッシュが……!?


3-3章入る前に、閑話としてヒロインたちの看病シーン()を挟もうかなーと思います。

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