表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/62

第41話

 存分に暴れられても問題がない開ている地に転移してきたが、寸分の狂いなく義姉は僕らの方に向かってきている。

 魔力探知が得意らしい。


「……ところで、なんでついてきたんですかお嬢様……」

「わ、わかんないわよ! なんか私もいつの間にかワープしてたのっ!」

「まぁ巻き込んだのは僕か」


 今すぐお嬢様だけ元の場所に返す――……のは、もう遅いな。

 空には赤い彗星が見え、僕らめがけて一直線に降下している。防御魔術を展開させ、衝撃に備えた。


 ――ドガァァァンッ!!!


「カッカッカ! お主がイアを誑かしておる男かぁ? 是非とも手合わせを願いたいんじゃがのう? できればボコボコにしたいものじゃ……!!」


 土煙の中、クレーターの中心に人影が見える。

 低身長で黒い軍服に軍帽をかぶる少女。赤髪と翡翠色の目は、イアと同じだ。しかし、つり目とモフモフの髪が姉妹の違いだろう。


「ん……アッシュ、私のお姉ちゃんは、私より強い」

「そりゃ……戦いがいがあるってもんかな!」


 ……確かに、圧倒的オーラがビリビリ伝わってくる。だが、本当にイアが負けるのか? まだ未知数だからわからないが、それほどまで脅威なのだろうか。

 警戒して姉の方から目を一切離さず、いつでも拳を振り抜けるようにしておいた。


「儂はイアの姉こと〝アイ〟、特異人イレギュラーの一人じゃ。身のほどをわきまえるが良いぞ小僧。……と言いたかったんじゃが、貴様の方が年上とは。癪じゃのう」

「僕はアッシュです。……けどアイさん、年下になるみたいなもんでしょ。()()になるなら」

「カッカッカ! 面白いの〜! 反吐が出るジョークじゃ。しかし、チャンスをやろうぞ」

「ぅ――」


 瞬間、なんとか目に収めるほどのスピードでアイは移動をし、イアの背後を取っている。手刀を首に当てると、脱力して気を失ってしまう。

 反応はできたが、イアに向かうと思っていなかったので防ぐことはできなかった。


「イア!」

「お主が果たして妹に相応しい男か確かめようと思うての〜。取り敢えずイアはこちらで預かるぞ」


 懐から取り出した四角い物体をイアに当てると、そこに吸い込まれていった。

 おそらくは亜空間に閉じ込めておく魔道具の一種だろうな。しかし……実の妹を手刀で気絶させるとはな……。


「んで、何をするんですか」

「簡単じゃ! 二人で儂を倒してみせよ。さすればイアを解放するし、貴様らの関係を認めようぞ。もし儂が勝てば、一生近づくでない」

「そりゃ当たり前ってやつですよ。…………ん? ()()()?」

「えっ?」


 シエルお嬢様と顔を合わせ、素っ頓狂な声を漏らす。


「お主が連れてきた者じゃろ? だったら協力して倒してみせんか。貴様や妹となんら関係がないのならば良いが」

「……っ! 私も、関係者です!!!」

「お、お嬢様!?」


 今は絶対乗るタイミングではなかったはずだ。なんせ相手は特異人イレギュラーと呼ばれる者。

 お嬢様を守りきりながら戦えるとは思えない。


「ふふっ、言ったでしょアッシュ。良い女になるって」

「だからといって無謀な戦いをしていいわけではありません」

「無謀じゃないわ。貴方と並ぶには、料理ができたり魔術ができるだけじゃなく、強くならなきゃいけない。だから、私なりに強くなったつもりよ」


 お嬢様が強くなったと言うのはどんなことだろうか。魔術の勉強? 剣術の稽古? 聖眼の覚醒?

 どれにしても、今の僕やアイに敵うほど強化ではないだろう。やはりここは一旦僕だけ戦うしか――


「……逃がそうとしてるのは()()()()わよ。けど、本当に安心して欲しいのよ。本当に、ね」

「……? あ? なんだ、あれ」


 アイが来た方と反対方向から何かが飛来してきている。


「私がただゲームして、ゲーム作ってると思ってるの? 最近ハマってたゲームは()()()()()()()()()()()()。……もう言わなくていいわよね」

「お嬢様……マジか……!!」


 聖眼は他者の人格を見抜いたり、深層心理を見抜ける。それだけでなく、通常の眼が数万倍強化されている。

 それ故にミクロなサイズまで見れるし、透視能力もある。


 それをまさかこんなことに活用するとは思ってなかったな……!


「作ってたのって()()()()ですか……!!」

「ふふんっ。正しくは、パワードスーツよっ!!」

『目的地ニ着地シマシタ。飛行モードヲ解除シマス』


 ガチガチャと音を立てて四角い箱が変形し、人が身に纏うには丁度いい形に変形をしている。


 どうやらシエルは――〝アーマードお嬢様〟らしい。

まさかのお嬢様がロボを纏って戦闘参加です。

だって、ねぇ?魔女、騎士団長、勇者、魔王と出てきて、シエルお嬢様がただの目がいいヒロインだとお思いで?

元々彼女は機械技師にする予定だったし、文句は受け付けません。


……にしても、この短期間でパワードスーツ作り上げられる財力とお嬢様の技術すげー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ