【第一話】~限界オタク化したら負け~
【登場人物】
・七瀬 和葉
…最強かわいいヒロイン。和也と付き合って2年が経つ。今年から高3。
・如月 和也
…ザ・普通の男子高校生。和葉と付き合って2年が経つ。同じく今年から高3。
【第1話】
俺の彼女、七瀬和葉は最強に可愛い。だけど俺は、学校では絶対に気を抜けない。
なぜなら、和葉が可愛すぎて俺が「限界オタク化」してしまいそうになるからだ。
昨日だって、帰宅した瞬間に布団にくるまって「あああーーっ!」と叫ばなきゃいけないレベルで最強に可愛かった。まいにち平静を装って過ごしているが、そろそろどうにかなりそうだ。
俺たちは同じ天宮高校に通っている。だが、俺たち2人の関係は周囲にはヒミツだ。
俺には過去のトラウマがあるし、そもそも「キラキラ1軍女子」である和葉と、ザ・普通男子である俺が付き合っているなんて噂が広まれば、和葉にとって迷惑だと思うからだ。
だからこそ、俺は学校では気を抜けない。冷静に、冷静に。
ましてや、限界オタク化するわけにはいかない。俺の平穏な高校生活が終わってしまう。
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「…よし行くか。」
和葉は隣の家に住んでいる。朝は毎日一緒に登下校するようにしており、いつも通り七瀬家のインターホンを鳴らす。
すると後ろから、
「だーれだっ」。
柔らかい手がささっと俺の目元を包む。
…和葉だ。直後、もう俺の口角は上がっていた。ニヤけている。ダメだ、今日もめちゃくちゃ可愛い。
…いや、いかん。冷静に、冷静に。
俺は少し恰好をつけながら返答する。
「…和葉だろ。」
「せーいかいっ!手と声だけで分かってくれるの嬉しい!」
「そりゃ分かるよ、和葉ん家の前だもん。」
「たしかに!というかさ、、あたしの手ぜったい汚かった、、、ゴミ捨て行った直後だもん」
「ええ、、まじかよ…ウエットティッシュとかある?」
「ほんとごめん、、、持ってる!ちょっと探すね!」
和葉は口をむむむっとさせて申し訳なさそうな表情をしながら、ごそごそとスクールバッグ内のウエットティッシュを探している。それすらもかなり可愛い。むむむってなってて可愛い。
和葉は学校では割と大人びて見えるし、そう見せたいのだろう。
しかし、意外と猪突猛進するタイプでもあるため、こういう天然ポカもたまにやらかす。
まぁこの件は可愛いのでセーフだ。なんならゴミ扱いしてもらっても構わないし、ゴミ捨て場に
ゴミのように投げられるのも悪くないのではないだろうか。
「……おーい、和也~聞こえてる?」
「はっ…、あぁーっと三角関数のグラフとかを頭で描いてたよ。」
「えらいね!今日小テストだもんね~」
もちろん大噓である。ゴリゴリに脳内で限界化していたし、なんなら性癖が脳内を全力疾走していた。気を引き締めろ…如月和也…!
とりあえず。今日から高校3年生だ。和葉と一緒のクラスだと良いな。
つづく