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と、まぁそんな事をしている間に魔王様はアスタロト様から先の会議の報告を聞いていた。
「・・・ロア、一寸待ってぇ?」
「 ? 」
ナナシを剥がし、いざ第三柱の間に帰ろうとすれば、魔王様に待ったを掛けられる。
嫌な予感がしながらもその場に制止、彼の次の言葉を待てば魔王様はニンマリと良い笑顔で告げた。
「丁度いいからぁ、ナナシの能力の実験しようよぉ?」
「・・・は?」
「勇者二人の情報が欲しいんでしょ?だったら、ロアとナナシで行けばいいよぉ。ナナシの耳なら外からでも聞こえるんじゃない~?」
それ迄見ていた書類を判子を捺してからデスクに放り、椅子から立った魔王様はナナシの傍に来るとワシャワシャと撫でる。
「・・・俺様でもナナシは人間に戻せない。戻せない以上、ナナシには悪魔として生きて貰う事になる」
「悪魔として生きるなら、その能力を使いこなせる必要がある・・・か・・・」
幼い頃の自分を思い出し、大きな溜息を吐いた。