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― 魔王城 魔王の執務室 ―
アスタロト様と一緒に魔王様の執務室に入れば、俺に気付いたナナシが千切れんばかりに尻尾を振りまくりながら此方に抱き付いてきた。
「くぅん!くぅん!!」
「はいはい、ただいま。ちゃんといい子にしてたか?ナナシ」
スリスリと頭を擦り付け、全力で甘えてくるナナシの頭を撫でながら問う。
俺の問いに、彼女はフリフリと軽く尻尾を振って答えた。
いや、ソレどっち?
「ナナシはぁ、本当にロアが好きだねぇ?ロアの足音を聞き取ってからぁ、ずっとソワソワ扉の前で待ってたよぉ~?」
とニコニコ告げる魔王様。
「いや、忠犬か!」
思わずツッコミを入れた俺は悪くない・・・。