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「というか、バティは何しに来たんだ?」
腕を組み、首を傾げて問うロアにここに来た目的を思い出す。
「嗚呼、そうだった・・・」
詠唱するのが面倒だったので、トントントンっと三回、壁をノックして防音魔術を三重に展開した。
「防音魔術?」
「そう」
「ソレも三重とは・・・」
「いや、この部屋だけじゃないよ。第3柱の間にもアベルの防音魔術が三重にして展開されてる」
「はぁ?」
「しょうがないじゃん。ナナちゃんがこの部屋での音を全部拾ってたんだから」
「・・・は?」
思考停止。
俺が上での出来事をロアに教えてやれば、彼はそんな顔してた。
うん。分かるぞ。その気持ち・・・。
ナナちゃんの嗅覚と聴覚、悪魔の特殊能力とは言え規格外もいいとこだしね。