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「ロア~?ちょっと聞いて欲しいことが・・・ん?」
分厚い扉を開け、拷問部屋の中に入りながら彼の名前を呼ぶ。
そして俺は目の前の光景に思わず硬直した。
噎せ返りそうな血のニオイに、赤い水溜まりが沢山出来上がった床、拷問器具が置かれて居た筈の机には、なんていうか・・・そう、モザイク処理をした方が良いものが沢山並んでいた。
「・・・バティか?どうした?」
たった今取り出したらしいこれまたモザイクを掛けた方が良い何かを手にしたロアが此方を不思議そうに振り返った。
「いや、『どうした?』はコッチのセリフですけど?!なに?ナニコレ?!どうした!?」
「・・・一寸、待て・・・死にそうなコイツを再生させてからな・・・コイツには、まだ死なれたら困る」
平然と瀕死の男を示し、ロアはそう言って手にしたモザイク物体を机に置く。
その後、代わりに青いポーション瓶を手にすると、中身を男の口の中に少量垂らした。
瞬間、彼の身体は緑の光に包まれ、ロアによって付けられた致命傷が綺麗に治る。
・・・ねぇ?
ナナちゃんの傷、ブエルに頼むより、コレで治した方が早くない???