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「まじかぁ・・・これでも風呂入ったとき、二回づつくらい洗ってるんだけど?」
「あぁ~・・・なんかァ、普通の狼や狼型の悪魔よりもぉ、鼻とか利くみたいだねぇ~・・・まぁ、原因はソレだけじゃ無いケド~」
「うん?」
「どうやらぁ、ナナシは聞き取ってるみたいなんだよねぇ~」
「何を?」
「地下の例の部屋に居る~、ロアがしてることぉ~」
アベルの言葉に、一瞬時が止まった気がした。
嘘だろ、まじか?!
「うっそ、だろ・・・まじか?!地下だよ?しかも、あの部屋、分厚い扉二枚あるんだよ?!」
「マジマジィ~・・・もう、大マジだよぉ~?」
撫でながら彼女の身体に魔力を流していたらしいアベルはそう言ってナナちゃんの身体から手を引く。
そうして今度はパチンと一度指を鳴らすと第3柱の間に防音魔術が三重になって張られていた。
「ん~・・・これでも聞き取るかぁ~・・・」
再びナナちゃんに魔力を巡らせたアベルが困った顔でボソリと呟く。