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「いいか?俺はお前に怖い事も痛い事もしない・・・大丈夫だ」
そう、俺は褒めて伸ばす主義なんだ。
ナナシに関してはそうすると、今決めた。
「理解出来たのなら、右手を乗せろ。お手だ」
頭を撫でていた手を、ナナシの目の前に差し出してそう告げる。
俺を新しい飼い主と理解できたのなら右手を乗せろ・・・と。
「・・・・・・」
暫くジッと俺の手を見つめ、チラリと魔王様を見、その後ナナシは俺を見上げた。
不安そうに尻尾を丸め、少し考える素振りを見せてからゆっくりと右手を俺の手に乗せる。
「いい子だ。ナナシ」
二ッと口角を上げ、乗せられたナナシの手を握り、マルバスを呼んだ。
「マルバス。指輪」