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「『アレ』は無視で大丈夫だ。マルバス、ナナシ…狼擬きの奴の姿を人型に戻してほしい。それと、彼女の魔力を暫く封じたい」
「はい。宰相殿より伺っています。『隷属の枷』で変身魔法を強制的に切りたいとか」
「嗚呼。出来るか?」
「そうですね・・・『隷属の枷』をそのまま流用するのはあまりお勧めしません。一度着けると外したくなった時にかなり大変ですし・・・」
「問題は其処なんだよな・・・」
「ええ。ですが、その代替えとして此方をお持ちしました」
そう言って、彼がポケットから取り出したのは、銀色の幅が広めの指輪だった。
「指輪?」
「はい。この指輪には『隷属の枷』と同じように魔力封じの効果があります。他にも機能はありますが、今は魔力封じ特化型にしてあります」
「マジか・・・」
「ただ、その子の総魔力量を知らないので、封じきれるかどうか分かりませんが・・・」
「まぁ、多少漏れるくらいなら大丈夫だろう。狼姿になれない程度の魔力になれば問題ない」
「分かりました。一応、封印中は外せないようになっていますが、解除用の魔力設定は司令官殿で宜しいですか?」
「嗚呼、それで頼む」