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取り敢えず、残りの小言は溜息と共に吐き出して本題に入る事にした。
「・・・はぁ~・・・まぁ良いです。それで、ナナシの魔力は後どのくらいです?」
「アレぇ?ロア、気付いてたぁ?」
「まぁ・・・貴男のしそうな事ですし、もともとその姿が魔法によるモノだと砦で会った時から気付いてます」
「そんな早くから気付いてたのかぁ・・・つまんなぁ~い」
「つまらなくて結構です。で?」
「・・・召喚勇者だからねぇ・・・魔力量、この世界の普通の人間より多いよぉ?それに加えてぇ、今は『悪魔』擬きだから、ねぇ?」
「まだまだ残っているわけですか・・・」
「うん。これぇ、多分使い切らせるよりもぉ、『枷』付ける方が早いかもねぇ~」
「『枷』、ですか・・・」
「うん。『隷属の枷』的な能力のあるヤツがぁ、一番いい感じぃ?」
ナナシの認識を『狼』から『女性』に戻す為、俺達は手始めに今のこの狼型から人型に彼女を戻したいのだ。
その為には、変身の魔法を持続させているナナシの魔力を一旦切る必要がある。
魔王様がナナシと遊んでいたのは、より早く彼女の魔力を消費させて『魔力切れ』にさせたかったらしいが、どうやら上手くいかなかったようだ。
元々の召喚勇者としての魔力量と、悪魔に身体が作り替わっている最中のため更に魔力が普通の人間よりもずっと増加されているらしい。