32/139
1-17
「いらない?」
首を傾げるサタナキアと俺。
魔王様はヘラッと笑うと更に言った。
「向こうに帰してやれないのにぃ、持ってても仕方ないでしょ~?」
「それは、そうですが・・・」
「まぁ、ソレをナナシに返すかどうかはァ、ロアの判断にぃ任せるけどぉ」
「けど?」
「返す時はァ、ナナシの自己認識がァ「人間」になってからねぇ~」
「分かりました」
「ん。そんじゃぁ一先ずぅ、かぁ~いさぁ~ん」
ひらッと笑顔で手を振る魔王様が部屋を出るのを見届けて一息つく。
「・・・死んだかと思った・・・」
「あれでも普段は『アレ』を出さないように頑張っている方だぞ?」
「マジで?」
その場にしゃがみ込んで大きく息を吐いたサタナキアがそう言って俺を見上げた。