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魔王様から何時もの単語や語尾を伸ばすようなふざけた口調が消える。
これは、相当キレている・・・。
「俺様のモノに手を出したこと・・・マクスウェルの馬鹿共に後悔させてヤレ」
「承知致しました」
「・・・ソレと・・・ナナシは、多分もう人間には戻れない」
「ソレはどういう?」
「そのままの意味だ。彼女の身体は、既に殆どが悪魔の身体に作り替わっている。なんなら悪魔の持つ特殊能力も持っていた。コッチの人間達に混ぜるなら兎も角、彼女の世界には帰せない。帰してやれない。俺達を魔族とする最大の特徴である魔石も出来始めてた。アレを抜けば、ナナシは死ぬ」
キッパリと言い切る魔王様。
「・・・ナナシを出したのは、この話を聞かせられないからですか?」
「だって、可哀想だろう?勝手に召喚された挙句、人間じゃなくされて、帰れなくもされたんだ。ロアはそんなナナシにこの話言えるのか?」
「言えませんね。流石に」
「だろう?」
「分かりました。彼女は責任を持って、俺が預かります」
「頼んだ」