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サタナキアが恐る恐る魔王様に問う。
「うん。そうだねぇ・・・あの子についてた血のニオイはァ、そういう事だねぇ・・・」
「そんな・・・」
「・・・俺がもっと早く見つけられていれば・・・」
「他はァどうなったのかぁ・・・まぁ、予想はつくけどナナシの記憶にはなかったぁ~。っていうかぁ、ナナシの中でぇ、実験されてた時の記憶はぁ殆ど読めなかったぁ」
「魔王様で読めないとなると・・・」
「『狼』で居る事の強制と一緒に、なんか別の魔術を掛けられてるんですかね?」
「ん~・・・多分?俺達に見つかったときのぉ保険?的なァ?」
そう言った後、スッと魔王様の雰囲気が変わった。
何時ものふざけた空気と笑顔が消え、代わりに恐ろしい程の殺気が漏れだす。
俺の横で、サタナキアが息をのむ音が聞こえた。
そう言えば、この魔王様を見るのは、コイツはコレが初めてだったか・・・。
「・・・ロア」
「はい」
「捕まえた研究者、選別しろ。終わったら情報を全部引き出せ。必要なら2、3人殺してもいい・・・」
「はい」