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否、『ナナシ』って、つまり『名無し』だろ。
それ、名前付けたって言えるか?
大きな溜息と共に魔王様を見れば、彼は得意気な顔をしていた。
「さぁてと。じゃぁ、名前が決まったところでぇ・・・ナナシはお風呂ねぇ?」
パチンと一回、魔王様が指を鳴らせば現れるこの城のメイド達。
「お風呂が終わったらぁ、リオちゃんのトコに預けといてぇ?」
ヒラヒラとメイドに手を振って、魔王様はそう告げる。
そうしてナナシを連れた彼女達が部屋を出て行くと、魔王様は俺達に向き直り溜息と共に言った。
「ハァ~・・・そんじゃぁ、ナナシには聞かせらんないハナシしよーかァ」
「・・・行方不明になった者達の話、ですか?」
俺がそう問えば、彼はコクンと頷いた。
「うん、そーだよぉ・・・少なくともぉ狼系と鳥系、2人は生きてないと思う~」
「ナナシを作る為の材料になった・・・?」