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ワシャワシャと『彼女』の腹を撫でながら魔王様は話を続ける。
何時の間にか『彼女』は魔王様に陥落していた。
気持ちよさそうに、自身を撫でる魔王様の手を受け入れている。
「狼系の悪魔とぉ、鳥系の悪魔の要素を足してこの姿にされたみたいィ・・・って言っても、まだ完全じゃぁなかったみたいだしぃ、今のコレはこの姿に変身しているように『調教』されたみたいだけどぉ」
「もしや、心が『狼』って言うのは・・・?」
「うん。ソレが原因~。まぁ、奴らも此処までになるとは思って無かったみたいだけどぉ」
「・・・確かに。今の『彼女』は、『悪魔』というよりも『魔獣』って感じですね・・・」
ワシャワシャとしていた手を止めると、魔王様はその場に座り込んだ。
『彼女』はそんな魔王様の膝に頭を乗せて、尻尾を緩く振り乍らもっと撫でてアピールをしている。
懐柔されすぎだろ。
俺の時は近寄ってくるまでもっと掛かったのに・・・。
「この子が実験体に選ばれちゃったのはァ、召喚勇者ならイロイロと耐久の問題がクリア出来るのとぉ、『勇者』として奴らが期待した能力を持ってなかったからみたいだねぇ。寧ろ称号的には『勇者』でも無かったみたいだしィ・・・だから一回目であるこの子の召喚はァ国民には伏せられたみたいだよぉ。二回目の勇者達がァ『勇者』として国民に公表されているっぽいィ・・・」
「・・・クズ共が・・・」
「魔王様・・・」