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「ん~・・・ごめん、怖かったぁ?ダイジョーブだよぉ?痛い事しないからぁ。一寸だけぇ、俺様に診せてぇ?」
キューンと鳴く『彼女』に、魔王様はそう言って今度は下から手を差し出し、『彼女』自身から動くのを待った。
ニコニコと笑って待つ魔王様。
暫く迷った末、『彼女』は意を決してゆっくりと魔王様に近寄った。
「ん。いい子ぉ・・・」
ナデナデと『彼女』を撫でながら、魔王様は自身の魔力を『彼女』に巡らせて情報を読み取っていく。
何をどうしてそうやっているのかは分からないが、彼は自身の魔力を他人に流すことで流した相手の情報を正確に読み取る事が出来るのだ。
「・・・なぁ~るほどぉ・・・レナルドの能力、効かないワケだよねぇ・・・」
「「え?」」
どうやら魔王様は何か情報を得たらしい。
「これぇ、治すの結構大変だよぉ?」
「おしまい。いい子だったねぇ・・・」と『彼女』を優しく撫でた魔王様はそう言って俺達を見た。