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意外と読まれているみたいなので続きました。
― 魔王城 玉座の間 ―
「それでぇ?その子を保護してきたのぉ?」
『カナメの砦』を潰し、魔王城に戻ってきた俺は、サタナキアと『彼女』を連れて魔王様に報告に来た。
サタナキアの能力が効かなかった為、俺が何とか宥めすかして連れてきたのだ。
そうして事の顛末を話し終わると、魔王様は連れている『彼女』を眺めながらそう言って首を傾げる。
「・・・はい」
頭を下げたまま肯定すれば、暫くの沈黙ののち、魔王様は大きな溜息を吐いた。
「はぁ~・・・マジかぁ・・・マクスウェルは何処までクズなのぉ?あと2人共顔上げていいよぉ」
俺達にそう告げてから、「よっこいしょ~」と玉座を降りた魔王様は、コツコツとブーツの音を響かせながら俺の目の前迄やって来た。
そうしてスッとしゃがむと、徐に『彼女』の頭に手を伸ばす。
俺の後ろに隠れていた『彼女』は、翼は仕舞われたものの、未だ狼の姿をしており、魔王様に怯えているのか子犬のようにプルプルと震えていた。