14/139
P-14
「これは・・・」
「合成魔獣かなんかか?」
「イヤ、違うと思うよ?さっきの血のニオイ、その子からしてるし?」
「グルゥウ」
全身の毛を逆立てて唸るソレは首輪と足枷が付けられて居り、壁に向かって伸びる鎖で繋がれていた。
一通り部屋と狼?を観察し、俺は何故かその子が『彼女』であると確信を持つ。
「・・・魔力が放出されてるな・・・多分、この姿は変身能力によるものだろう。サタナキア、お前の出番だ」
「へ?オレ?」
「『彼女』の『変身』を解いて欲しい」
「『彼女』?アレ、女なの???」
動揺するサタナキアに、そうだと頷き『彼女』の方に彼を押し出した。
「・・・1度目の勇者召喚の時、呼ばれたのは『女』だった」
「そう言えば彼女、召喚されたっきり表には出てなかったような・・・?」
俺がそうサタナキアに告げれば、バティが『そう言えば・・・』と彼女の情報を付けたし、ハッとする。
ソレを聞いて、サタナキアも俺の言わんとする事を理解したようだ。
彼から殺気が漏れた。