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何を言っても、彼女には静寂しか聞こえていないことを思い出す。
ピルピルと動く、嘗ての星ちゃんには無かった狼の耳・・・。
リアル獣人になってしまった妹を見つめ、俺はある衝動を必死で抑え込んでいた。
「・・・・・・」
「 ? 」
「・・・耳、触りてぇ・・・」
ふわふわの毛に包まれた柔らかそうな耳。
元の世界の友人に、自分の飼っている犬や猫の耳を執拗に愛でている奴が居たが・・・今ならその気持ちが分かる気がした。
無警戒に俺を見上げる星花…否、ナナシ。
レプトが十夜と仲良く話しているのを見て、彼女はどうやら俺達を仲間認定したようだ。
是ならワンチャン触れんじゃね???
ゴクリと喉を鳴らし、そっと彼女の耳に手を伸ばす。
さわさわ・・・フニフニ・・・




