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「・・・成程。それで我々に手伝って欲しいというのは?」
「ナナシをこの姿にするのと、お前たちを召喚するのに、俺達の仲間、つまり魔族の命が使われている話しはしただろう?」
「ええ。主犯の研究員は貴男が処断した・・・と」
「俺が殺した奴ら以外は、基本的には脅されて居た奴らが殆どでな?俺が選別したシロ判定の連中は今は家族とかと一緒に俺達の国で保護してる。脅しに使われていた呪いの類も、フルーレティが頑張って解呪してくれていてな。全員の解呪が済み次第、この件が終わるまでロットバルトに居て貰う事になっている」
「ロットバルト・・・確かに、地理的に考えるなら妥当な判断ですね・・・」
何やら国の話を始めた十夜とレプト。
俺にはサッパリだが、どうやら十夜はこの世界の地理も既に頭に入っているらしい。
だから返答は彼に任せ、俺は話半分に不思議そうな顔で此方を見上げている星花を構う事にした。
「・・・お前、今は『ナナシ』って名前なんだって・・・?」
そう妹に問えば、彼女はキョトンとしたまま此方を見上げていた。
彼女の頭には『 ? 』が浮かんでいる。
「 ? 」
「って、そうだった・・・今はレプトの魔法が掛かってんだっけか・・・」




