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「・・・ナナシの周辺だけ音を消した」
「・・・星花には聞かせられない話と言う事ですか?」
「そうだ」
俺の問いに、妹の周辺の音だけを消したと言うレプト。
十夜が星ちゃんに聞かせたくない話しなのかと問えば、レプトは頷き肯定した。
「・・・彼女がその姿にされてから俺と会うまで大分間があってな。その間に、彼女の身体は悪魔の身体に造り替わっていた。何より、俺達悪魔というか、魔族であるという証である魔石が彼女の中に出来てしまっているんだ。この世界の人間に混ぜるなら兎も角、お前らの世界には返してやれない。どうしたってお前らの世界じゃ今の彼女は浮いてしまう」
「その魔石?は取れないのですか?」
「取ることは出来る。取ることは、な・・・だが、魔石の役割っつーのは俺達にとっては魔力を作る源であり、お前ら人間で言うところの心臓にあたる。つまり、魔石を取り出すと言う事は・・・」
「星花の死を意味する・・・と?」
「そうだ」
視線を地面に伏せ、レプトは悔しそうに口を噤む。
そうか・・・星ちゃんは、もう元に戻せないのか・・・




