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そう意気込む十夜。
だがまぁ、アレだ。
一先ず俺達が独り立ちできるレベルになる必要があるな。
俺達の護衛兼戦闘訓練の先生であるこの国の騎士達に、先ずは自分達の持つ力の使い方を教わった。
そうして訓練を始めて一か月。
俺達の探し者は向こうからやってきた。
ただし、俺達の知る彼女とは違う姿になって・・・。
「・・・星、花?」
「星ちゃん・・・」
狼のような耳と尻尾、鳥のような足、蝙蝠に鳥の羽根を足したような翼、悪魔らしき男の隣りで俺達に威嚇する『ソレ』は俺達の妹の顔をしていた。
「・・・ナナシ、ステイだ。あの二人・・・勇者達は傷付けるな」
俺達の妹らしき者を「ナナシ」と呼んだ男は赤い右目を俺達に向ける。
ジッと注がれるその視線、俺達の護衛である筈の騎士達は剣を構えるものの、怯えてカタカタと剣が鳴っていた。
だっせぇ・・・散々俺達に戦闘の心得的な覚悟的なもんを解いてたっつーのにな。
小さく溜息を吐いて、チラリと十夜に視線をやれば、奴の顔から表情が抜け落ちていた。