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「・・・なんでそう思う?」
「そう俺に問い返してる時点で半分肯定してるようなもんだろう?違うなら否定すれば済むハナシ。ついでに言うとさ、トーヤは気付いてないんだろうけど、お前ずっと口元ニヤケてんぞ?」
「・・・マジで?」
「マジで!」
心底驚いたように言う十夜に、俺は苦笑しながら頷いた。
今までの会話から分かる通り、俺達は行方不明の妹を含めて所謂オタクという生き物なのだ。
つまり、この状況は全力で楽しむしかないという事である。
「・・・くっ、バレたんなら仕方がない!!嗚呼、そうさ!俺は!今!!この異世界転移の状況を楽しんでいるっ!!」
バーン!!と効果音の付きそうな、よくわからんポーズを付けながら十夜が本性を出した。
「月、考えてもみろ。異世界転移だぞ?!最長でも百やそこらの人間の人生で、こんなチャンスが来ること自体奇跡だろう!!分かってる?!」
「いや、いきなりキャラチェンジするのやめろや。面白過ぎる」
「社会人モードの本日の営業は終了しました!!俺はこの異世界を楽しみたい!!」
「はいはい。分かってるよ。けど、その前にすることあんだろう?」
「勿論、分かっているさ。『星ちゃんを探す!!』これが最優先!!」