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「分かりました」
俺が苦笑しながらそう言えば、リオネルはコクンと頷いた。
瞬間、ナナシの耳がピーンと立ち上がり、尻尾が嬉しそうに揺れる。
「悪いな。リオ」
「いえ。あたしは良いんですけど・・・」
「因みに何の仕事だったんだ?」
「魔王様からナナシちゃんの成長記録を作って提出するようにと・・・」
おずおずと告げたリオネルに、俺は笑顔のまま固まった。
魔王…否、アベルのヤツ、俺の部下になんちゅー私的な仕事を寄こしてんだ!
「・・・リオネル?」
「はい」
「その仕事は無視していい。魔王様には俺から丁重に断りを入れておく」
買い物から戻ったら、アベルの奴は説教だ!!
1人、心の中でそう決意しつつ、出掛ける準備をしに行ったリオとナナシを見送った。




