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とまぁ、そんな感じでマルバスを待っていると二時間ほどで来てくれた。
「18精霊、マルバスです。司令官殿がお呼びと聞き、参上致しました」
「嗚呼、待ってた。まぁ一先ず其処に座れ」
ナナシが大人しく本を読んでいる向かいのソファーを示し、彼にお茶を出して俺はナナシの隣りに腰を下ろす。
すると、それ迄本を読んでいたナナシはパタンと本を閉じ、ぽすんっと俺の膝に頭を乗せて撫でろと緩く尻尾を振った。
くしゃりと一度、ナナシの頭を撫でてからマルバスに向き直る。
此処で魔王様のようにわしゃわしゃと何時までも撫でていては、ナナシから「狼」が抜けないので敢えてソレだけに留めた。
「それで、頼みたいことがあるんだが・・・」
「はい。ナナシ様の封印魔道具の件・・・ですよね?」
「嗚呼。ナナシが自分の能力制御出来るようになるまではコレをチョーカーにして欲しいんだ」
「チョーカーですか?」
「そうだ」
予備として渡されていた、ナナシの指に嵌められているモノと同じ指輪をマルバスに見せる。
コレをチョーカー型にして欲しいのだと頼めば、彼は首を傾げて聞き返す。




