112/139
4-10
「おや?魔王様、クロードに見張られながら執務をされていたのでは?」
「ん~?アスタなら撒いてきたけど~?」
は?撒いてきた?
「・・・魔王様?」
「あ・・・」
俺が笑顔で彼を呼べば、魔王様はハッとして凍り付く。
明らかに『ヤバい』と顔に書いてあった。
「そ、それよりも~、三人で何してたの~?ロア、ナナシのォ訓練するとか言ってなかったぁ~?」
「残念ながら、本日は中止だそうですよ?魔王様」
「中止ィ?なんでぇ?」
「なんでも、必要なものが出来たとかでマルくんの元に行くそうです」
「マルくん?・・・嗚呼、マルバス~?」
ベルゼビュート様の意識が魔王様に向いているウチに、俺は背後のナナシに静にと人差し指を口元に立てた。
コクンと黙ったまま頷くナナシを確認し、いい子だと頭を撫でる。
そうして彼女の手を取ると、そのままマルバスの元に転移した。




