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「ナナシ・・・今日は訓練、コレで終わりにしよう。元に戻すから、俺の方に来てくれないか?」
出来るだけ優しく、怖がらせないように告げる。
周囲の音が消えたのが良かったのか、俺の声を拾った彼女の耳がピクリと動き、そうしてゆっくりと俺の方に近づいて来た。
チラリと読んだ彼女の思考は俺にへの謝罪で埋め尽くされている。
「・・・違う。お前のせいじゃない。俺のやり方がアホだった。謝るのはこっちの方だ。悪かった、ナナシ。怖い思いをさせた・・・」
お前は悪くないと頭を撫でて、いい子で俺の手に前足を乗せるナナシに指輪を魔力を込めながら填め直した。
何時ものように封印され、ナナシの姿も人型に戻る。
ぎゅぅっとナナシが抱き付いてきたので、そのまま受け入れて結界を全て解いた。
「きゅぅん(マタ、ヤル ノ)・・・?」
「いや、この訓練な?するならマルバスに作って貰わんと駄目なモンが出来た・・・だから、今日はもう中止・・・」
そうナナシを撫でながら告げ、俺の能力も切った。
同時に真横に感じる魔力の気配。




