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「うん。よろしくぅ~」
魔王様は俺に返事を返しつつクルリと身体の向きを変えると、誰に向ける時よりも優しく笑顔を作ってナナシの頭を撫でながら言った。
「・・・ナナシ。ナナシの初めてのお仕事決まったよぉ~?」
キョトンと魔王様を見上げるナナシ。
この時、彼女を両手でワシャワシャと撫でる魔王様を見て俺は思った。
「ナナシの認識が、狼から離れないのは・・・アベルのせいじゃね?」
ナナシの扱いが、基本的に犬なんですよ。この悪魔。
「ロア?」
「いえ、なんでも・・・」
コテンと首を傾げて俺を見る魔王様を見ている限り、コレ無意識でやってんなぁ?っと、大きな溜息を吐いた。
暫くナナシから魔王様を遠ざけよう・・・。
と、心に誓った。




