見たな
掲載日:2009/08/26
私はとても怖がりな女。
1人では出かけられない。
1人でいるのも嫌。
もちろん怖い話は苦手。
聞きたくもないし、体験したくもない。
友人の中には、その手の話が大好きな子もいる。
その子達は、お化け屋敷とか、心霊スポットとか、喜び勇んで行く。
本当は怖いくせに、強がりを言い合っている。
私には考えられない性格だ。
もしそんなところに行って、悪霊に取り憑かれたらどうするつもりなのだろう?
後の事を考えない、浅はかな行為だと思う。
怖がりな女の言い訳なのかも知れないけど。
ふと気づくと、私1人。
どうしよう? どうしよう?
他のみんなは心霊スポット巡りに出かけた。
今から追いかけるのも嫌だ。
それにそんなところに行きたくないし。
怖い。怖いよ。
足がすくむ。手が震える。
歯の根も合わないほど、口元がガタガタする。
その時、ゴトッと物音がした。
思わずビクンとしてしまう。
足音? 話し声?
誰かが近づいて来る気配がする。
何? 何?
私は怖くなって物陰に隠れた。
「そこに誰かいるの?」
「いるなら返事してよ」
若い女の子達の声だ。
すぐ後ろで聞こえた。
私と同世代くらいだろうか?
少しホッとする。大丈夫だ。
私は立ち上がって振り返り、その女の子達に言った。
「見たな」




