召喚式・大成功?(リーリエ)
「それじゃぁ、次30人入って下さい。はい、君から?えーと、はい、君までね。」
ん〜?なんか凄いイケメンが会場整理してる…あれは攻略対象者かな?乙女ゲームベースの世界だからか攻略対象者じゃ無くてもイケメン、美人が多いのよね〜。
「君はルドルフ君の妹?」
「はい!リーリエ・マイヤーです!」
兄の知り合いなら礼儀正しくしてあげよう。わたしは出来る妹なのだ。
「マイヤー家なら大丈夫だね。儀式、緊張しないようにね!」
イケメンはポンっと背中を押してくれた。そう、わたし思ったより緊張しているみたい。
「一緒に入れて良かったね!」
ローゼがわたしとクリューに囁いた。そんなに広くない会場にはお高そうな白い大理石の椅子がズラリと並んでいる。石でこんな繊細な作りが出来るんだ…足とか折れないのかな?軽くツルツル触っているとなんだかお兄様みたいだなんて思った。優しい優しい椅子…
「…これ、お兄様が作ったのかも…」
そんな事ないだろうと思いつつ、つい口元も綻んでしまう。
「これから召喚式を行います。私たち神官があなた達と精霊をつなぐ架け橋をします。あなた達はゆったりした気持ちで、精霊に語りかけて見てください。」
白い服を着た神官さんがそう言った途端、待ってましたとばかりにキラキラが入ってきた!
(何コレ、凄い!)
キラキラがいっぱい!そこに神官さん達がキラキラの粉を撒く。キレイなんだけど、やっぱりクシャミが出た!もう、みんな大丈夫なの?と思って周りを見回したら、やっぱりローゼもクシャミ我慢してるじゃん。もう、キラキラの拷問かよ⁉︎
他にはいないかキョロキョロしていたら何故だか兄貴…おっと、お兄様がいた。どうやって入ったんだと思いつつ小さく手を振るといい笑顔を返してくれる。もう、過保護なんだから…と思いつつわたしもきっといい笑顔をしている。
たしか、この召喚式でローゼとクリューは白い精霊の加護を受ける。それが聖魔法を使える精霊達なんだ。聖魔法を使えるのは純粋な心の持ち主。ライバルを命をかけて守れるクリューと強くて優しいローゼにピッタリ!
クリューを無理やり家に連れて来て、ローゼにも強引に紹介してしまったけど、ゲームスタート時から良きライバルだった二人には何の問題も無かったみたい。
だからわたしは今はこの状況を楽しむの!二人を守る為にもわたしはこれからいっぱい頑張らないと、なの!
ゲームの映像もキレイだったけど、きっと表現し切れなかったのね。もっともっとキレイ…
くすぐるみたいに耳のそばで誰かが何かを囁いて、わたしの周りを…ちょっと、なんか多くない⁉︎
ローゼとクリューの近くだから⁉︎
ゲームではモブの『ヒロインの親友』。出て来たのはゲーム開始直後だけ。でも、わたしは今ここにいる。ゲームみたいに画面から見えなくなったら消えて無くなるわけじゃない。
これはひょっとしたらニュー展開が訪れるの⁉︎なんてドキドキしていたら…
『…ぼくも…』
って声が聞こえたからつい、
「三食昼寝、オヤツ付き…」
なんて定番のセリフを言って見た。
『やったぁー!』
ん?んんん?んんんんん?
何やらわたしの周りにブンブンしたものが…だけど眩しい‼︎良いけど、なんか増えてない⁉︎良いけど、良いの⁇
「リ、リーリエ大丈夫⁉︎」
「リーリエ!」
「だ、大丈夫。」
…だと思う…クリューとローゼが声をかけてくれたけど、
「そこ、静かに。まだ終わっていません。」
って怒られた!
まだ終わって無いって召喚式の事だろうけど、わたしは?これ本当に大丈夫なの⁇…と、神官さんを見ると、けっこう汗だくになっている。
わたし、本当に大丈夫?
『はじめまして、マイヤーのこ』
「んん?」
キョロキョロ見回すけど、目の前のこのキラキラ?目を糸のように細めてジーッと見る。んん…ん?
「うおっ⁉︎」
『わ!見えるの⁉︎マイヤーのこ⁉︎』
「み、見えるみたい…」
『すごいすごい!』
『ぼくはぼくは?』
『かごしないとだめじゃない?』
『するするー!』
なんか、増えてく…ぼんやり聞こえていた声がだんだんとはっきり聞こえて来て、多分加護が増えた分キラキラの中身が見えるようになってきた。
すっごく可愛いちいさな…これが精霊なんだ!でもちょっと多すぎない…?
「リーリエ‼︎」
気付いたらお兄様に抱きしめてられてた。
「すまない。リーリエを気に入ってくれたのは有り難く思うのだけど、僕のリーリエは普通の女の子なんだ。それくらいにしてくれないだろうか?」
『ちぇっ…まだだいじょうぶそうなのに』
『マイヤーのこの言うこと、きいてあげるー』
眩しいくらい、わたしの周りに集まっていた精霊がフワフワ離れていった。まだそばにいるのは加護をくれるって言っていた子なのかな?
「ルドルフ君!儀式中は邪魔しない約束…」
「リーリエはもう加護を受けたようですよ?僕には想定外の事が起こっていた様に見えましたが。」
「…」
「皆さんの邪魔にならない様外に出ています。行くよ、リーリエ。」
普段は優しいお兄様が今日はすっごく怒ってる…まぁ、神官さん達、わたしが見ても動揺したよね…
お兄様に肩を抱かれたまま、わたしは部屋を出た。
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