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召喚式・はじまり(神官and精霊)

 土魔法で黙々と椅子を作って行く青年。学校の職員かと思ったが、そうでは無いらしい。背も高く落ち着いて見えたのでシェーンハイト君の同僚かと思った。

 話のやり取りでどうやら生徒だと気づいたが、若いのに中々の魔力操作だ。これぐらいの魔力操作が…なんかちょっと…


 「ちょっと、ルドルフ君。君もうちょっとクオリティ落として?」


 大理石だろうか?ツヤッツヤの石で椅子の形をつくりあげていくが、大貴族の庭園にでも並ぶような椅子を職人のように作っていく。いくらなんでも20も出来ないうちに魔力が無くなってしまう。


 「君!腰掛けれればいいんだ。ベンチくらいの…」

 「あ、ベンチでしたか。収容人数は?何人ずつ来るんですか?」

 「あ、いや、30人ずつくらいで…」

 「ベンチが30個かと思いましたよ。じゃ、椅子30でいいんですよね?」

 「ああ。いや、だから…もう少しクオリティを…」


 バッ!と振り返ったルドルフ君は突然言った。


 「その椅子にリーリエが…僕の妹が座る事になったらどうするんですか⁉︎そして、椅子が足りなかったら僕の妹は召喚式の間立ったままかも知れない‼︎」


 …な、なんだ?彼の妹は病弱なんだろうか?


 ルドルフ君は黙々と最上級の椅子を作る職人にもどる。私の横でそれを見ていた同僚が言った。


 「…神殿に欲しいな…」

 「ダメですよ。彼、土魔法しか使えないはずですから。」


 話を聞いていたらしいシェーンハイト君が言った。神官になるには少なくとも2種の属性が必要なのだ。


 「!これだけ使えるのに⁉︎」


 同僚が残念そうに言う。土魔法だけだからこれ程の魔力操作ができるのだろうか?


 「先生、約束お願いしますよ。」

 「…あ、ああ…」


 画して、会場にはそぐわない超豪華な庭園用椅子がずらりと並ぶのだった。


   ◆◆◆


 きょうは『しょうかんしき』の日。


 きょうはたくさんの人があつまってぼくたちはそのなかからきらきらしててすきーて人をみつけるの。


 あの白いころもの人がとびらをつくってくれたらぼくたちはこのへやにいるなかですきなこをえらぶんだ。


 “あ、あれはマイヤーだ。あの子すごく良かったのに土のヤツがあれは僕らのだって取っていっちゃったんだよ。”


 ぼくたちはじゅんすいなこがすきなんだ。だけど、じゅんすいで、あうこってなかなかいないんだ。


 なんかきょうはきらきらしたこがいっぱいいる!

風や土はあうこがいっぱいいるじゃない!

 あれはマイヤーみたいだけどらまえはゆずったあげたんだからこんどはぼくがもらう!


 あ!はやくしないととられちゃう!


 ◆◆◆


 30人ずつ詰め込まれた部屋で、精霊達は自分が加護を与えて良いと思う者の周りをぐるぐると飛び回る。加護は一つの者も二つの者もいるが、あまり多数の者はいない。

 貴族に加護を受けれる者が多い理由は元々の素地が一番なのだが、それはまだ身分制度が確立していない頃に『加護を受けれる者=特別な者』と言う図式が作られていった事に他ならない。

 精霊の好む者は『純粋な者』。しかし、それは無垢な者でも、力を欲する者でも見分けて授ける訳ではなかった。時には破壊する者が強大な力を持つ事もあった。

 召喚式は形式である。本来は精霊自ら飛び回って自分の加護を与えたい相手を探す事だってできるのだ。

 しかし、加護を与えられる人間は余りに少なくなっていた。純粋でも素地のない者には力は使えない。与えられないだ。

 精霊はただただ自分と共に生きれる人間を探す。それは本能のようなものだ。加護を与える事ができて、自分と相性がいい、自分と共に生きれる者。


 ◆◆◆


 つちはたくさんいるのに!まえはゆずってあげたでしょ⁉︎

 あぁ!ひがいくならぼくもいいよね⁉︎


 ん?ぼくをよんでる?やったぁ!


 ◆◆◆


 リーリエ達の召喚式が始まった。後で気付いたが、リーリエさえ見れたら良かったのに最初から参加してしまったが為に部屋から出られ無くなってしまい、かれこれ5つの召喚に立ち会ってしまった。

 リーリエの参加の順番も分からなかったのでジリジリしながら待っていたが、妹の一生に一度の召喚式をこの目で見られるのだからそんな事は些細な事だ。


 30人が部屋に入りルドルフ製作の椅子に座る。


 「これから召喚式を行います。私たち神官があなた達と精霊をつなぐ架け橋をします。あなた達はゆったりした気持ちで、精霊に語りかけて見てください。」


 神官達がキラキラした粉を撒く。精霊と繋がりやすくなる為の物らしいが、アレを撒かれるとクシャミが出そうになるんだよな…とか思っていたら、リーリエが思いっきりクシャミをしていた…

 ルドルフはティッシュを持って行きたいのをぐっと堪える。今はいけない。空気は読める子なのだ。

 リーリエがポケットをゴソゴソしているのを見て安心する。と、兄に気付き、びっくりと目を見開いてから満面の笑みで小さく手を振ってくれた。あぁ…なんて愛らしい…


 「この召喚式で加護がもらえる者は半分にも満たないでしょう。加護が貰えなかった方も出づれ機会があるかもしれません。邪な考えを抱かぬよう、精霊はあなた達をいつも見ています。」


 お決まりの説明(ルドルフは何分6回目なので)が終わって精霊の召喚式が始まる。

 先程神官が振った粉のような光が少しずつ集まり始める。精霊の加護をもらえた者は一瞬光に包まれる。一人、二人と加護が貰えたようだ。

 リーリエはさほど心配はしていない。マイヤー家は土の精霊との相性が抜群に良い。何事も無ければすぐに決まるだろう。だろうが…


お読みいただきありがとうございます(゜∀゜)


精霊ちゃんは精霊ちゃんっぽくひらがな多めの表記にしてみました。全部ひらがなにしたら思いの外読みづらかったので敢えて簡単な漢字は入れています。

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