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新しい教室ともっとも病んでる攻略対象

 「はーい、わたしはあなたたちの担任になりますマルティナ・ロンメル先生でーす。木属性と火属性を持っていまーす。見ての通り、エルフ族で年齢はナイショ。ち・な・み・に、独身でーす。年の離れたお兄さんがいたら授業参観に招待してまーす。」


 目が覚める様な緑の髪のすごい美人だが、言動の残念な先生がリーリエ達の担任だ。エルフ族の寿命は300年程。年齢は伏せているが、年の離れたおじいさん位の年齢である。


 「今日はまず自己紹介をしまーす。一番…」


 リーリエのクラスは全部で33人。少ない属性はなるべく一クラスに固めるクラス割になっている。なので、クラスと言っても座学用のクラス割のようなもので、実習になるとまたグループ分けが変わって来るのだが…

 最初の座学は魔法の成り立ちなどの基本からなので、全員同じ授業になる。火、水、風、土(地)の属性を持つものは多いが、木、雷、氷、聖、闇は少なく、使い方も特殊なものが多い。外部から先生を招くものもあり、クラスから数人ずつ生徒が抜けるのを避けるための策なのだ。

 ちなみに身体強化は何故だか唯一根性でも習得できる加護である。


 「はーい、リーリエ・マイヤーさん?」

 「はへ?」

 「じ・こ・しょ・う・か・い!お願いしまーす!早くっ!」

 「リ、リーリエ・マイヤーです。中等部に通ってました。えーと、制服が可愛くて嬉しいです!」


 ドッと笑いが起きる。何が違ったのだろう?と思ったら、


 「属性!教えて下さい。」

 「えーと、土、火、雷、聖。以上!」


 男前にキリリッと答えると、笑いが止まり、ざわめきが起こる。

 クリューだって、ローゼだって3種類の加護を持ってるんだから、一つ多いだけじゃ無い…と思っている。

 確かにゲームでは『3種もあるなんて稀有な』とか言ってた気がするけど、リーリエの加護のうち、二つは平民にも多い土と火だ。

 リーリエはストンと座る。と、後ろから背中を突かれて振り返ると…


 「ねぇ、君、平民?」


 と、聞かれる。癖のある髪は漆黒で、前髪は長めだが、後ろは短く切られている。一見少女にも見えそうだが、声は男の子だ。何処かで見たことのある美形なのだが…


 「ア、ア、ア、アイゼン様⁉︎」

 「アイゼン様じゃないけど、僕はアイゼンフート・ガイストだよ。なんで僕の名前を知ってるの?」


 アイゼンフート・ガイスト。確かいつ花ではローゼの先輩として登場するはずの人物だ…リーリエの推しの一人だが、現実には『無いわ〜』な人…

 何故ならアイゼンフートは他国からのスパイで暗殺もこなすいつ花随一の病んでるキャラなのだ。アイゼンフートルートを開こうと思ったら、王子と王子の従者、神官の好感度を均一に保ちつつ、護衛騎士を開いてあとなんだっけ…?とにかく後半にしか出てこないはずのキャラなのだ。しかも年齢が若干若い。


 「わ、わたくしリーリエと申します。本日はお日柄も良く…」

 『りーりえかたかた』

 『もちつけりーりえ』

 『なんだ、こいつりーりえってのか?なんかへんなかんじのやつだな』

 「自己紹介はさっき聞いたところだよ?」


 相変わらず妖精は同時にしゃべるので結構聞き取りが大変なのだ。


 「変じゃな!…ア、自己紹介サッキシマシタネ。」

 「よろしくね。なんかすごい汗かいてるけど大丈夫?」

 『なんかこいつおかしいぞ?おまえたち、こいつについてるのか?』

 『ぴゅ~、ぴゅ~、なんのことかな?』

 『ぼくたちはおさんぽちゅうなんだよ』


 リーリエの妖精たちは教室中をウロウロしている。妖精たちなりにアイゼンフートのヤバさを感じているのか?それともリーリエの挙動不審に乗っかっているだけなのか?

 しかし、アイゼンフートの妖精らしき黒い服の子はリーリエの傍をしきりに飛び回った後、リーリエの顔面にやって来た。目を逸らすリーリエ。覗き込む妖精…

 顔面に張り付いた妖精を、思わず叩き落とす。


 『いってぇー!おまえみえてんだろ!どうしてくれるんだよ!』

 「リーリエさん、アイゼンフートさん!仲良くなるのはいいけど、他の人の自己紹介も聞きましょうね。」

 「先生!虫がいました!虫!」

 「あら、やだ!誰か虫大丈夫な男の子!」

 『こら!おれはむしじゃねぇ!つまむな!なにしやがんだ!?』


 どうやら先生は虫はお嫌いのようだ。

 リーリエは令嬢にあるまじき素早い動きで何かをつまんで、おもむろに立ち上がって窓から外にそれを投げ、そのまま流れるようにパシンッと窓を閉めた。


 「先生、お騒がせしてごめんなさい。ごめんね、アイゼンフートくん。先生に注意されちゃったね。」


 今度は優雅に席に戻ってにっこりとアイゼンフートに笑いかけた。外に放り出したアイゼンフートの妖精は窓をパシパシ叩いている。どうやらガラスを通り抜けたりはできないらしい。


 『ごめんね、おんなのこ。あいつもわるいやつじゃないんだよ…』


 目の前に白い服の妖精…これもどうやらアイゼンフートの妖精のようだ。しかし、ゲームでは出てこなっかたような…どういうことなのか?なけなしの記憶を振り絞ってアイゼンフートルートを思い出す必要があるようだ…

お読みいただきありがとうございます。(^^)/

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