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魔王と勇者の学校  作者: あかちゃんくん
2/2

ユグドラシルとスライム

スライム…それは魔族の中で、不思議な存在とされている。

その姿は、決まった形を持たず、半透明でゼリー状で生息する環境によって、さまざまな色彩と能力を得ることから、その種類は多種多様である。この世界に、どれほどの種類のスライムが存在しているかは、魔族の王の魔王ですら、理解していない。


チュンチュン(鳥のさえずり)


朝…それは毎日の始まり、今日は初めて、魔王と勇者が学校で、人間たちに魔族は危険な存在ではないと教える日。とっても晴れていて、健やかな気分で授業を行えるとっても素敵な日、のはずなのに魔王は寝ていた。


「まったく〜魔王のやつ、一体何を考えているんだ!?今日は初めて、学校で魔族について紹介する日だっていうに、なんで学校に来ないんだよ!!?今何時だと思ってるんだ!あいつは!!」


魔王と勇者は、学校で待ち合わせをしていたが、約束の時間を過ぎても魔王がいつまでたっても現れず、痺れを切らした勇者が魔王を迎えに行っている。魔王は約束をバックれたのだ。


「ようやく着いた…魔王城、いつ来てもおぞましいなあ…ここは。まだ城中に闇のオーラをはっているのか…あれ、ただの演出上の光でなんの効果もないと聞いた時はがっかりしたなあ〜…」


闇のオーラ…魔王城全体を覆っている黒と紫の光、悪魔でも演出上の光で、なんの効果も持ち合わせてはいない。魔王曰く…なんかかっこいいからはっている、とのこと。


(トントン) 扉をたたく勇者


「魔王〜!早く起きろ〜!もう10時だぞ!学校に行く時間だぞ〜!どうせ寝てるんだろ!知ってるぞ!!魔王、魔王ってば!!……そうかい、そういう態度をとるんだな、魔王…」


「イオ○」


(ドカーン!) 勇者の魔法で扉がぶっ飛んだ


「ばあ!なんだ!?ば、爆発!?なんで!!?」


「魔王様、おはようございます。」


「あ、ああ…ゼルか…なんだ!?今の爆発は!!?目覚ましにしてはやりすぎだぞ!!」


「目覚ましではございません。勇者が魔王城の門を破壊し、侵入してきたのです。」


「ああ〜そうかそうかあ、勇者が魔王城の門を破壊して、ここに侵入してきたのか〜なあんだ、ええ!!?」


「おい待てゼル!それってー」


(どっかーん!) 魔王の寝室の窓がぶっ飛ぶ


「やあ、おはよう…バックれ魔王様」


「ゲゲ…来ちゃったよ…めんどくさいのが……。おいゼル、なんで勇者が魔王城に来た時点で起こしてくんなかったんだ!?お前頭いいから、こうなるって予想ついたろ!!」


「確かに、こうなることは予想できていました。しかし、魔王様の心地よい眠りを、妨げてしまうのは良くないかと思いまして…。決して、このあと勇者に攻撃され、爆発でぶっ飛ぶ魔王様の面白い顔を見たくて、ほっといたのではございません。」


「てめえ、それが本命か!!」


「魔王…」


「は!?hey!!?what happend!?」


「なぜ学校に来ない、約束したはずだぞ。約束は信頼の証、それを破ることがどういうことか分かるか魔王…。また、戦争でもおっ始めるか……魔王。」


「いやいやいや、ちょっと待て勇者!私の話を聞いてくれ!!」

(やっべ〜まぢで怒ってるぜこいつ…さっきの英語もツッコまれなかったし〜。」


「魔王様、さっきの英語はなんですか?めっちゃダサいですね。」


「てめえがツッコむのかよ!あと軽くディスってんじゃねえ!!」


「魔王…」


(キュイイイイイイイイン) 勇者が光の魔力を込める音


「だからちょっと待って〜!話聞いて!!人間だろコミュニケーションちゃんととって!!?」


「なぜ今まで寝ていた…貴様は朝方魔族のはずだ。普通に生活していれば朝の10時になっても起きないなんてことはない!なぜだ!?」


「え、え〜とお、それは〜かくかくしかじかで〜重要なみっしょんをだなぁ〜。」


「レベル上げでございます。」


「レベル上げ?」


「え!?ゼル…きゅん…?」


「魔王様は昨日、ドラ○エでラスボスを倒せずに困窮し、メタ○スライムを倒してパーティーのレベル上げをしていました。そして寝落ちし、私がベッドまで運んだのです。」


「ゼルきゅん☆!お口閉じて!もう喋んないで!!?」


「フッハハ…そうか、ゲーム夜更かしして、寝坊したのか…。良くないなあ…そういうのは、ゲームは1日1時間までって、お母さんに習わなかったのか?バックれ夜更かしレベリング魔王…。」


キュイイイイイイイイン!キュイイイイイイイイン!キュイイイイイイイイン(勇者の光の魔力が膨れ上がる音)


「待ってくれ勇者!仕方がなかったんだ!!レベル上げして強い魔法を覚えないとラスボスは倒せないって、攻略サイトに書いてあったんだ!私は悪くない!悪いのは攻略サイトなんだ!!」


「そうか、強い魔法じゃないとラスボスは倒せないのか〜。じゃあ、とっておきの魔法を教えてやるよ…復活の呪文はメモしたか?」


「覚悟はいいか…?俺はできてる…」


「え、ちょ…待って!?今、メモするから!!?やうて おみや らうきむ ぺぺぺー」


「イオ○ズン」


どどどっかーん!(勇者の魔法で魔王の寝室が爆発し、魔王がぶっ飛ぶ音)


「やはり、面白い顔をしながらぶっ飛んでいきましたね、実に面白い…はっはっはっは。」



シーンチェンジ→学校



「みなさん、こんにちはです!ようこそ僕たちの学校へ!!僕は勇者、そしてこのこわ〜いおじさんが魔王です!」


「おじさんは余計だ…。」


「授業の時間をずらしてしまって申し訳ございません〜。このおバカなおじさんが、ゲームのやり過ぎでお寝坊をしてしまって〜ほら、おじさんも謝って。」


「メタ○スライム倒してレベリングしてました…ゲーム好きの魔王ですいませんでした…。」


「まったくもう〜おっちょこちょいなんだから〜このゲーム好きのおじさんは!!。」


(教室から笑い声があがる)


(クソオオ!!この場にいるやつら全員ぶったおしてええ!!)


「魔王、怒るんじゃないぞ…我慢しろ。」


「ああ…我慢しているさあ、この、心の深淵から湧き上がってくる怒りと憎悪を抑えてな…この私をあざ笑うとは、しかもみんなで…いじめじゃないのか、PTAに訴えるぞ勇者」


「黙れゲーム好きのおじさん、自分の年を考えて行動しろ。」


「最強にかっこよくて素敵な魔王様、ピッチピチの17歳です!!」


「オイオイ…」


「まあ、怪我の功名だと思え。お前の失敗は結果として魔王の印象をとんでもなく変えた。」


「そ、そうなのか…。」


「当然変わるだろう、かつて世界を侵略しようと、いくつもの生物と文明を滅ぼしてきた魔王が、今となてはゲームで夜更かしをして寝坊をするよなただのおじさんなんだからな。」


「さっきからおじさんおじさんうるさいぞ!!せめて…イケメンおじさんといいたまえ。」


「イケメン付ければいいのかよ…。」


「とりあえず、授業を始めよう。だいぶ遅れてしまった。」


「ああ、そうだな。」


「ん!んん!!(咳払い) さて、生徒諸君、本日はよく集まってくれた!私のせいで、大分時間が遅れてしまったようだ。そこは申し訳なかった、謝罪しよう!この失敗は必ず取り返す!!」


「本日紹介する魔族は、こいつだ!召喚魔法!サモン!!スライム!!!」


ピコーン!(魔法陣が現れ光出す音)


「これがスライムだ。まあスライムくらいなら、お前たちも見たことくらいはあるはずだ。こいつは世界各地に分布し、生息する環境によって、多種多様な色彩と能力を得る。この私ですら、スライムの種類がどれほど存在しているか、把握しきれていない。」


「なんだ、魔王のくせに、把握できていないのか?魔族の王なのに…。(笑)」


「そこ!笑うんじゃない!!」


(教室から笑い声があがる)


「ぐぬぬ、勇者だけでなくみんなまで笑いおって!絶対にPTAにいじめにあいましたって、訴えてやるからな!!覚悟しておけ!?」


(教室からさらに笑い声があがる)


「ぐ…まあ、それくらい不思議な存在なのだ…スライムというものは。それに、先程はこいつのことを魔族と呼んだが、おそらくこいつは魔族じゃない。」


「え?魔族じゃないって、どういうことだ?」


「魔族とは従来、人間が悪魔と契約し神にも匹敵するほどの強力な魔力と知識を得た者だ。魔族になっても元は人間、人の形を明確に保ち、感情もある。このように、決まった形を持たず知能も感情も感じられない、魔力はあるが人間よりも劣り、魔法は何一つ使えない。どのようなものを食しているのか、寿命はいくらあるのかも未確定だ。こいつかどうやって生まれてたのかも分からない…おそらくは魔族の1人が、魔界に住む魔物を参考に作った、人口生命体だ。」


「待て魔王、その、魔界とか魔物とは、一体なんなんだ?スライムはもともと、この世界には存在していなかったのか?」


「勇者よ、神から何も聞いていないのか?まったく…ではまず、この世界、ユグドラシルについて教える必要があるようだな。」



「今のユグドラシルは3つの世界に区切られている。神や天使が存在する天界、悪魔や魔物が存在する魔界、そして我々が存在している人間界だ。魔物は魔界に存在し悪魔達の支配されている。そして、その悪魔達を従えているのが悪魔の王、魔神だ。かつてユグドラシルには天界と魔界しか存在していなかった。だが、魔神が天界を我が物にしようと、悪魔と魔物を率いて、天界へと侵攻を初め、神や天使と争いを始めた。」


「待て魔王…それって……。」


「そうだ、我々がかつて、人間界で行ったような争いが天界と魔界で起きたのさ…。我々の争いが子供のままごとのように思えるくらいの壮大で壮絶な長い長い争いがな。モノホンの世界大戦だ。」


「世界…大戦…?僕たちが生まれる前に、そんなことがあったのか…。」


「神は、天界への被害を最小限に防ぐために、世界を新たに創造し、決戦のバトルフィールドを作り上げた。天界と魔界の終末戦争【ラグナロク】に備えてな。」


「ラグナロクを経て、勝利したのは天界だった、神は魔神を魔界へと封印し、悪魔達も魔界へと追いやられ、2度と魔界からは出られなくなった。」


「神は終戦後、残った決戦のバトルフィールドに数多も生命を作り出した。そうして生まれたのが…」


「人間界……」


「そうだ、こうして今のユグドラシルができたんだ…分かったか、お前ら。」


(教室から歓声があがる)


「凄いじゃないか魔王!お前は物知りだなあ!!」


「あ、ああ…ありがとう。」

(なんでこんなんで歓声あげてんだこいつら…それくらい常識だろう…)


魔王は気づいていない…自分が人間界で、随一の天才だという事実を…


「そうだ魔王、聞きたいことがある。ラグナロクが終わって、悪魔は魔界に封印されたんだろう?じゃあなんで、魔族なんて者がいるんだ?悪魔と契約しないと魔族にはなれない…お前達は、どうやって生まれたんだ?」


「ほう、そこに気づくとは、ちゃんと話は聞いていたようだな。勇者よ。そうだなあ…我々魔族が、いかにして生まれたかって?」


「それはな〜…」


「後で教えます〜。」


「ズコー!なんだよ魔王、教えてくれたっていいだろう?勿体ぶるなよなあ…。」


「うるさいぞ勇者、あとでちゃんと教えてるから待ってろ。ユグドラシルについては話した…お次は本題のスライムだ。ちゃんと説明しないとな…先生らしく…。」


「魔王…めんどくさがってた割には、ちゃんとやる気があるじゃないか、偉いぞ。」


「やかましい…お前は俺の保護者か、説明するから手伝え…助手くん。」


「はいはい、手伝いますよ、新米教室!」


「諸君、世界史の授業はどうだった?次は生物の授業といこう!」


「先程言ったがスライムの生態は生息する環境によって見た目と能力が多種多様、それゆえに説明がどうしても長くなってしまう。だからこの比較的数が多く、生態が解明されているスライム…身体青いし、ブルースライムとでも命名しておこうか。こいつの説明をする。」


「懐かしいなあ、そのスライム。ひ○きのぼうでいっぱい倒して、経験値を稼いでいたなあ…。」


「ひ○きのぼう?なんで包帯巻いた木の棒なんかで戦ってるんだ?もっとマシな武器はなかったのか?兵士の剣とか?」


「国王様はひのきのぼうと50Gしか渡してくれなかったからなあ…。あの頃は仲間もいなかったし、生活には苦労したよお…。」


「国王…勇者に対してケチすぎるだろ…。お前もよくそれで冒険に出たな…。」


「しょうがないさ、僕はこの世界を守る勇者だ。魔王を倒して世界を平話にするために一刻も早く冒険に出る必要があった。国王様と言い争いをしている場合じゃなかったからな。」


「…なんかすまん。」


「別に良いよ、過ぎたことだ。それに、ブルースライムはとにかく弱かったからな~ひ○きのぼうで2、3発叩けば倒せたし、戦闘経験が未熟だった僕でも余裕で勝てたよ。」


「そうか、今勇者が言ったように、このブルースライムの特徴の1つは、とにかく弱いことだ。木の棒1本で倒せるくらいにな…こいつは体内に身体を形成、維持する核と呼ばれるものがあり、それを破壊することで倒せる。青いゼリー状の物質で核を覆い守っているようだが、攻撃してやれば簡単に壊れるし、穏和な性格で襲われても逃げるだけ。人間の赤ん坊より害がない。」


「どうしてブルースライムってあんなに弱いんだろうな?核を守っている部分だって簡単に壊れちゃうんじゃあ意味ないのに…。」


「こいつが弱いのは、強くなる必要がなかったからだ。ブルースライムが生息する地域は森や草原などの自然豊かなところだ。そこにはスライムを襲うような敵はいない。いるのは精霊や妖精などの、平和主義の連中ばかり。襲われることがないから自身を守る必要もない…そうして出来上がったのが、この最弱のスライムってわけだ。」


「なるほどなあ…平和な環境で育ったから、身を守る術を知らないのか。」


「ああそうだ、逆に危険な環境で育ったスライムは凶暴で普通に強い。全身が流体金属であらゆる武器に形状を変化させるものや、触れただけでその物体が一瞬にして液状化する程の強力な酸でできたスライムもいる。」


「環境によって性格も強さもバラバラなのか、凄い適応能力だな。ブルースライムは何を食べているんだ?」


「そうだなあ〜雑食性で基本なんでも食べれるが、大抵は植物を食べて生活している。体内に取り込んだ食物を消化し、それを核が吸収する仕組みになっている。スライムは種類によって食べるものも異なる、ブルースライムは食物だが、岩や金属、中には魔力を喰らうスライムもいる。」


「魔力を喰らうスライムなんているのか!?凄いな!!」


「スライムは物質を吸収し、吸収したものを核で生命エネルギーに変換して生きている。どのような環境下でも生き延びられるように体質を変化させ、あらゆる物質で生命エネルギーを作り出せるようにしたのだ。」


「本当にとんでもない適応能力だな…。岩とか魔力って、どんな味がするんだろう?」


「疑問はそこなのか…スライムは味を感じないぞ、取り込んだ物質を消化し吸収するだけだ。」


「ええ!?味を感じられないのか!!?なんて不憫な生物なんだ!何を食べても何にも感じないなんて、生きる楽しみがないじゃあないか!!どういうことだ魔王!」


勇者は、美味しい料理を食べることが人生の楽しみのひとつなのであった。


「ええ!?いきなりそんなこと言われても…スライムには知能も感情も無い、あるのは本能だけだ!だから何かを楽しむなんてこともしない!味覚なんてあったところで、好き嫌いが生まれて吸収できる物質が限られてしまうだけだ!デメリットしかないから味覚を感じないようにしたんだろ!私はスライムの生みの親じゃないから推測しか言えん!!」


「そうか…生きるうえでは味覚はデメリットになってしまうのか…なんか悲しいな、このスライムは人間と同じように食物を吸収するんだろ?こいつに、とびっきりうまい料理を食べさせてやりたいな…。」


「そんなことをしても、こいつは何も感じないぞ。生き残るために味覚を失ったんだ、多分な。味覚がなくても、楽しみが無くても生きている生物はこの世界にたくさんいる。人間は恵まれた魔力と知識を持っていたから、生きることに楽しみを見出せた。全ての生物が人間のような能力を持っているわけではない、我々は恵まれているんだ。それを自覚しろ勇者。」


「…そうだね、魔王……よく分かったよ。僕…今凄く後悔してる。今まで、このスライムをいっぱい倒してきた…自分や人間達に何か害を与えてきた訳でもないのに、ただ…倒しやすくて、経験値を稼ぐのにちょうどいいからっていう理由で…僕は神に選ばれた、勇者なのに…生きていく中で、何の楽しみも無くて、幸せを感じたこともないだろうに、僕の自分勝手な理由で理不尽に倒されるなんて…僕が倒したスライムたちは一体何のために生まれてきたのかな…?」


「…そんなもの知らん。勇者よ、お前は強くなるためにブルースライムを倒してきたのだろう…私を倒すためにお前は強くならねばならなかった、必要な犠牲だったのだ。単なる道楽のために命を奪った訳ではないし、その犠牲をうんでしまった元凶は私だ。私は世界征服という道楽のために、あらゆる生物の命と文明を奪ってきた…後悔して悲しむのは私であるべきなのだ…お前ではない。」


「魔王……」


ぽんっ(魔王が勇者の肩を優しく叩く)


「だからそんな顔をするな、お前には似合わない…お前に似合うのは、笑顔ー」


「魔王様。」


「ひゃあああ!?」(魔王と勇者が同時に叫ぶ)


「ゼ、ゼル!?なんで、ここに!!?」


「や、やあ…ゼル。」


「こんにちは勇者、あなたには笑顔が似合う。そんな顔しないでください。」


「おい!それ私のセリフだぞ!著作権の侵害だ!!勝手に言うな!!!」


「私が先に言ったから私のセリフです。」


「酷い!何その理屈!?」


「ゼル、どうしたの?君が日中に魔王城から離れるなんて珍しいね。」


「まったくだゼル!吸血鬼は夜行性だろ!夜になるまで魔王城でおねんねしてろ!シッシ!!」


「…メ○パニ」


テレテレテレ!(ゼルが魔法を発動する)


バシューン!(魔王に魔法が直撃する)


「うげえ!!?」


「ちょ、ゼル!?何やってるの!!?大丈夫魔王!?」


「Haha!やあみんな!!ミッ○ーだよ!こんにちは〜☆」


「魔王!混乱してるといえ、そのキャラはダメだ!!いろいろとやばい!!」


「Haha☆ぼく○ッキー」


ぴいいいいいいいいいい!(魔王にモザイクがかかる音)


「ええ!?魔王にモザイクがかかった!なんで!?」


「著作権を侵害したからBANされたのでしょう。うるさいのが消えて静かになりましたね。」


「う、うん…。ゼルって魔王に容赦ないよね。ちょっと怖いくらいに…」


「それはあなたも大概でしょう。大丈夫ですよ。魔王様はあれくらいじゃあどうってことないので。容赦していないのは信頼の現れです。あのモザイクは放っておいておきましょう。」


「そ、そうだね。ゼルはここに何しにきたの?日中はいつも魔王城にいるのに。」


「魔王様が民衆の前で笑い物になる様を拝見しようと思い、魔王様を尾行してここにきました。」


「笑い物って…ええ!?じゃあゼルは、僕たちの授業をずっと聞いていたの !?」


「はい、拝見しました。魔王様が笑い物にされ、悔しがっていた時のあほずらはとても滑稽でした。また見たいので、後でまた魔王様を煽りちらしてください。」


「え、う…うん!そうだね!そうするよ!!」


「そうしてください。」


(ゼルって話し方に感情が無いから、接しづらいんだよなあ…」


「ん?ゼルは隠れて授業を見ていたんだよね?どうしてわざわざ姿を見せたの?」


「あなた方の夫婦漫才を止めるためです。」


「ええ!?夫婦!!?いやいやゼル!僕たち結婚なんてしてないよ!!」


「…そんなこと知ってます。少しは国語の勉強をしなさい勇者、ただの比喩です。あなた方が生徒たちを置き去りにして授業とは関係ない話で盛り上がっていたので止めに入ったのです。」


「え、?生徒?」


勇者が振り返ると、そこにはぽかーんととしていた人間たちの姿があった…


「あ、ああ!?いや、み、みんな!?ごめん!!すっかり忘れてた!って、違う!!忘れていた訳じゃあ無くて!!?」


「忘れていたんでしょ。さて、生徒みなさま、今回の授業はこれでお終いです。あの混乱バカにしては、よくやった方かと思います。無駄話が多かったですが…ではみなさま、さようなら。良き夜を…」


ガヤガヤガヤ(生徒たちが唐突な授業の終わりに疑問を感じ騒ぎだす音)


「早く帰りなさい」


ピイイイン(ゼルの目が紅く発光する音」


「ちょっとゼル!?何やって…」


ガラララ…(生徒たちが気が変わったように教室の開け、出て行く音)


「みんな、帰っちゃった…」


シーンチェンジ→学校の屋根の上


「ゼル、さっきのって…」


「洗脳です。」


(はっきり言った!)


「あなた方の茶番のせいで帰る時間が遅れては、生徒たちの迷惑です。そうですよね、ミッ○ー。」


「ミッ○ーではない!魔王様だ!!まったく、何度もメダ○二使いやがって!おかげでこちとら夢の国原産のネズミだったぞ!!これは立派な反逆罪だ!問題だ!!」


「問題は入場料払ってないことですよね、捕まってください。」


「原住民だわ!!て、そういう問題じゃない!!」


「まあまあ魔王、その辺にしてよ。過ぎたことに怒ってもさ〜。」


「イオ○ズンブッパしたお前がいうのかよ爆弾魔…」


「僕は爆弾魔じゃない!だってあれは完全に魔王が…」


パン!!(ゼルが手を叩く音)


「魔王様、勇者、そのへんで…またくだらない茶番を始めるおつもりですか…いい加減にしてください。」


「あ…ごめん、ゼル…」


「フン!私は謝らないぞ!!今日はぶっ飛ばされるわ生徒たちに笑われるわ混乱させられるわで散々だったんだ!まったく、なんで私だけがこんな扱いを受けるんだ!私魔王だよ!王様なんだよ!!」


「不幸自慢ですか、うっざ。」


「なんでこんな扱いなのマジで!?」


「勇者、次の授業の際は、授業と関係ない茶番はしないようにお願いします。授業におふざけはいらない、とまでは言いません。教える内容に関係する茶番ならある程度は許容しましょう。しかし、授業に関係ないおふざけは時間の無駄ですので、あまりしないように…いいですね?」


「…そうだね。今回はスライムだけの紹介だったのに、ユグドラシルについても教えたもんね…それに、ブルースライムのことを想って泣きそうになっちゃったし…生徒たちがぽかんとするのも無理ないよね…次は気をつけるよ。」


「そこまで重く受け取める必要はありません…。勇者はあの自称不幸マンの暴走を止めてくれるだけでいいのです。」


「おいこら、だれが自称不幸マンだ、魔王様だ。そして私は暴走なんてしない。」


「嘘をつかないでください、スライムには関係ないユグドラシルについて唐突に話し出し、スライムの説明の最中に勇者を口説き始め、挙げ句の果てに全身モザイクになるんですから、救いようのない暴走ですよ。行き過ぎだよ、ジェームス。」


「誰がジェームスだ!ネタが古いわ!見た目子供のくせに中身はホント可愛くねえな!!ショタジジイめ!早寝早起きして陽の光でも浴びながら乾布摩擦でもして、ぬくぬくあったまってろ!早く行け!」


「メラ○ーマ。」


ちゅどーーん!!(ゼルの炎魔法が魔王に直撃する音)


「乾布摩擦より、こうした方があったかいですよ…ゲーム好きのおじいちゃん。」


(魔王…強く生きろよ。どんまい!)


「なんで…私…ばっかり……」


ちーん♪(魔王が気絶する音)


かくして、魔王と勇者の学校生活が幕を開けた。魔王と勇者は、無事に先生としてやっていけるのか?


「大丈夫ですよ…私があのバカ2人をフォローいたしますので問題ありません。」


え!?ああ…おねがいします……


「おまかせください。」


(…ナレーションの会話に入ってくんなよ…次回もお楽しみに!)


 END





















































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