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竜の私と異世界と。  作者: 霊王
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8話 〜竜人族の族長の娘〜

 

 山脈の隙間から朝日が差し込む。私はその光を浴びながら屈伸する。あの後、竜人族の彼女を置いてく訳にもいかず洞窟で一晩過ごしたのだった。




「お、起きたかな?」




 後ろの洞窟から微かに物音が聞こえた。どうやらあの彼女も起きたみたいだ。昨日の件で失神してからそのまま疲れたように眠りについちゃうから心配だったんだよねー。




「わ、私は何を……」


「急に気を失っちゃうから驚いたよ〜。」




 洞窟に入ると混濁している彼女を驚かせないように話しかける。




「まさか看病して下さったのですかッ!?」


「看病ってほどじゃないけどね。気絶させちゃったの私のせいだし。」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「私の名前はユキ、松草(まつくさ) (ユキ)。あなたの名前は?」


「リューナと申します。」


「リューナはなんでこんな所にいるの?」


「実は……」




 リューナから話を聞くと、この山のさらに向こう側にある山のふもとの竜人族の村に住んでいるらしい。そして、長老ちょうろう彼女リューナの祖父にあたる人が病で伏せてしまいそれを治すためにこの山にあるとされる“どんな病も治す果実”を取りに来たようだ。うん、私のリュックに入ってる『木竜の恵実』の事だね!




「分かった。じゃあ木竜の恵実(コレ)あげる。」


「……え”ッ!! よろしいのですか!?」


「うん、まだいっぱいあるし。」


「しかしこれは……」


「いいの、いいの。その代わりその村に連れてって欲しいな。泊まるところもないし。」


「それはもちろん、大歓迎でふ!……あ。」




 噛んだ、可愛い。とりあえずやっとちゃんとした寝床で寝られそうだ。

 人型だと寝る時にどうしてもフカフカのベッドじゃないと寝つきが悪くて。それに関しては竜に生まれて良かったかもしれない。


 いや、女の子としてはなんとも言いづらい。爬虫類か人間かと言われたらそりゃもう……




「ここまでどのくらいで来たの?」




 洞窟を出てその村へと歩いて行く途中にリューナに話しかけてみる。




「そうですね、普通は一週間ぐらいでしょうが私は五日かけて来ました。」


「五日ッ!?」




 五日ってかかり過ぎじゃない!?いや一週間のところを二日も短縮してきたリューナは凄いんだろうけど、私、今日はベッドで寝れると思っていたのに……




「…………緊急自体だ。失礼仕(しつれいつかまつ)る。」


「えっ?」




 そうつぶやいた私はリューナの後ろに回り込むと彼女を持ち上げお姫様抱っこをする。その行動に戸惑うリューナを無視しながら私は山岳をダッシュで下り始めた。

 ひええー、と彼女の悲鳴は彼方へと消えていくも私の足は止まらなかった。なんせ、大事な案件ですからね!


 今は人の姿と言っても本来は最強種の竜。前世では考えられないスピードであっという間に坂を駆け下りていった。




「うっし、到着!」


「たった数分で山を二つも……私の苦労は……」




 数分後、リューナの言っていたと思われる村にたどり着く。

 なぜかその本人は地面に横たわりながら泡を吹いてなにかつぶやいているんだけども……


 せっかくの美少女がそんな顔しちゃダメでしょ。竜人族だから美人なのか分からないんだけど。



(にしても……言っちゃ悪いけどフカフカのベッドは期待できないかもなぁ〜。)



 いま、私の目の前にある村を一言で表すなら『The・異世界の村』って感で…いや、悪く言うつもりは無いけどそうか、この世界ってこんな感じね。




「よし、とりあえず村長さんに会いますか!」


「あ、案内致します。」




 リューナに連れられて村に入る。すると、すれ違う人々…もとい竜人りゅうびとが私達に気づくと平伏へいふく、つまり頭を地べたにつけてひれ伏した。


 この村の歓迎方法なのかな?それとも族長の娘であるリューナに対して?


 その光景になぜか隣にいる私がむず痒さを感じて歩いていると村の一番奥にある大きな建物に到着する。




「リューナ様。おはようございます。」


「うん、おはよう。リュボルグ。」


「…………リューナ様!?」




 そこにいる槍を持った竜人が一瞬遅れてリューナに気づくと心配していたかのように駆け寄ってきた。


 うん、やっぱり見分けつかないや。


 そして、その兵士もやはり同じように平伏する。




「良くぞ戻られた、リューナよ。」


「父上!」




 建物の中に入ると三人の竜人が座って待っていた。両脇の竜人はかなり歳をとっていることが分かる。リューナが父上と呼んだ真ん中に座る竜人は片目に古傷があり私でもカッコイイと思ってしまった。




「よかった本当によかった……リューナよ、もう少し近くに寄れ。」


「はい!」




 その顔に似合わず意外と娘想いなんだなぁと聞いていると……




「こんの、バカタレ娘がッ!」


「アデッ! 父上、痛いです! なぜ殴るのですか!?」


「当たり前だろうが! あれほど行くなと言っていた聖竜山せいりゅうざんに一人で行きおって!」




 リューナが盛大に叱られた。近くによった瞬間、頭部に高速のゲンコツが落ちリューナは地面へと沈んだ。かなりいい音がしたから痛い筈だ。




(あはは、居づらい……)

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