7話 〜竜の私の物語開幕〜
ある一人の神様が居た。
その神様は多種多様な種族の中から自らの手で種族を代表する者たちを選びその者たちに自身の神格を分け与えた。
そして神となった者たちに守護神としての使命を出しその神様は姿を消した。
人種の神・ニニギノミコト
竜種の神・リヴヤータ
獣人種の神・キュウビ
鳥人種の神・ハルピュイア
森精種の神・ドリュアス
地精種の神・コウベ
海精種の神・テティス
魔人種の神・✕✕✕✕✕
そして八種族いる中、最も強いとされた竜種の神に出された使命はもうひとつあった。
世界の中立にいよ。
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師匠と別れてから数時間。ほぼ遠足気分で歩いてはいるものの、周りには竜、竜、竜。さすがは竜が住む山脈。まぁまぁ歩いたつもりなのだが景色変わらず。これでは日が暮れてしまう。
いや、日が暮れても別に問題ないか。最強種の竜だもん私!それに、近くに人里はないっていってたから今夜は野宿かぁ……
あれ?なんかいい匂いが……
突如、フワッと肉の香ばしい香りだ漂い体がピクッと反応する。その匂いに誘われるがままフラフラと歩いていくと岩壁の隙間に空洞がある事に気づく。私はなんの警戒もなくその空洞に入り進むと火の明かりがその先にあることに気がつく。
「おぉ……肉だ!」
ヒョイっと明るい方を覗くと木の棒に刺された肉が焚き火の周りで焼かれていた。
私は焚き火に近づき3つある内の1つを手に取りガブッと噛みつく。
「うんまぁあい!」
一口かじるだけで中からは肉汁が溢れ出し口の中を満たす。肉の方は動物のように少し硬いがこれは歯ごたえがあっていい。そして何やら風味にとまぶしてある草も私好みの味付けだ。
そしてもう一口……その時だった。
ギラリと光るものが私の顔の横に突き出された。
「誰だッ!!?」
その声に反応して食べるのを止め、後ろを振り向く。
「……へ?」
「……ッ!! も、申し訳ございません! 古龍の御方とは梅雨知らず、無礼な真似を!
責任をもって自害いたしますのでどうか我が村だけはお助け下さい!」
「ちょ、ちょっと待ってーーッ! 私何も言ってないじゃん!」
私はいまにも懐から出した刃物で自らの首を切ろうとしている女性を腕を掴み動きを止める。彼女をよく見ると所々に傷や汚れていた。
「待って待ってッ! 落ち着いて!」
「……ハッ、申し訳ございません! この場では血で汚れてしまいますね。外で行って参ります!」
「ちがぁぁーーーう!」
止めたものの話が伝わっておらず外に出て自害しようとするこの女性を私は必死で止める。その格闘をすること数分。
「ハァ、ハァ……な、んでそんな直ぐに死のうと、するかな……」
「も、申し訳……ございません。」
「……てか、悪いの私だし…何も言ってないじゃん……」
そう何も言ってはいない。何も言っていないのに私が古龍だと一瞬で分かっていた。それに、腕の鱗、お尻の尻尾、おまけに角。おそらく人ではないだろう事に驚いて「……へ?」と声が漏れてしまった。
「……その姿、人じゃないよね?」
「はい、私はこの山脈の麓にある村に住んでいる竜人族の族長の娘でございます。」
(竜人族キタァァァァーーッ!)
「先程はご無礼を……」
「いやいや、私こそ勝手にお肉食べちゃったし。」
「いえ、だとしても……」
「分かった! じゃあこの件はお互い様ってことで終了!」
こういう悲観的な子との話は押し通さないと先に進めないから強引でも終わらせる!とりあえず、落ち着いたし、あーお肉焦げちゃってるよー。
「これ、食べてもいい?」
「こ、焦げてますよ? 新しいものを……」
「大丈夫、大丈夫。いただきま〜す!」
む、内側の方はまだいける……て、私この子の分も食べちゃったよ。うわ、最低だわ。そうだ。
「はい、これお礼に。」
私は背負っていたリュックサックの中から桃色の果物を一つ取り出し渡した。そう、この木の実は洞窟から出た空腹の私を救ってくれたあの木の実!
え?リュックサックに入れてたから潰れてるんじゃないかって?ふ、ふ、ふ。このリュックサックには保存の魔法がかかっていて中のものは形・鮮度などの状態を全て止めることが出来るのだ!
そう、時間停止魔法と一緒の状態!師匠が頑なに『これは時間停止魔法ではないからな?』と言ってたんだよね〜。ここまで出来たら一緒じゃん。
だから、採れたてのはずなんだけど……一向に食べようとしないね。それよりプルプルと震えてる?え、まさか嫌いだった?
「こ、これは伝説級の木の実ではないですか! 受け取れません!」
「えっ、伝説級?」
「そ、そうです! 魔素が濃く、生物がほぼいない聖域とも呼ばれる場所で大地の恵をふんだんに吸ってなるこの木の実は一口で三年は飲み食いせずに生きていられるという伝説級のもの! その貴重さと効果から一つで一国を買える、いやそれより価値がある筈です!」
(え、そうなの? それよりこんな感じの子だっけ?)
「私なんぞ一度でも拝めるだけでもありがたいものを、いただくなど恐れ多くてとても無理です!」
(あ、さっきと同じ子だ。)
確かにあの場所の周りには生き物、竜すらもいなかったような……師匠がいたから近寄れないんだろうな。魔素、つまり魔力の元となる元素は多かったんだろうな。これも近くに師匠がいたからだと思うけど。
「いっぱいあるから気にしないで?」
私は安心させようとリュックサックの中身をその子に見えるように傾けた。その子はリュックサックの中身がなんなのか理解した瞬間に白目をむいて後ろに倒れてしまった……
あちゃ〜逆効果だったかぁー。