1話 〜気づくと竜でした〜
気づくと私は暗い場所に居た。
周りを見渡しても何も無く、ただ暗い闇の中。
落ち着け、私。何があった?
思い返しても別に変わったことは無い。学校で授業中に眠たくなり机にもたれかかって寝たのが最後の記憶……
え?まさか、死んだ!?
自分の腕で窒息して死んだとか笑い話じゃないよ!……となると、さしずめここはあの世…………嫌だ!私まだピチピチの十六歳なのに、そんな、こんな暗いところで一人とか拷問じゃん、私悪い事したことないのに!
………にしても暗い、ひどく真っ暗なんだけど。
パキッ
あれ?何か割れた、少し動いたんだけども…
パキパキッ!
うぇ!?もう一回動いたらさっきより割れた。心無しか亀裂から光が……もうなんでもいいから光が見たい、ここから出たい!動け私のカラダァァァァーーー!
バリバリバリィン――
……。
…………。
……………………ここどこ??
見えた光景は正しく神秘。洞窟?の壁に生えている苔は光っており、一箇所、壁から流れ出る水は池のように溜まって透き通っている。
うわ、透明度 高ッ!!
これ飲めるならミネラルウォーターとして売れそう……いや、そういう場合じゃない!
さっきから感じている身体の違和感を無視していたけど流石にダメだよね。
うん、これ私の身体じゃない。てか、人じゃないね。はいはい、あれでしょ?異世界転生でしょ?ははは、も〜今どきそれに驚くわけないじゃん。うん、驚いてはないよ?
フザ けんなッーーーー!!!!
なんで?どうして私なんだよ!確かに、確かに嬉しいけど、けれどもよ!
見たいアニメあったのに………………
うわー萎えるわ、うわーー。
あれから数時間経ったけど何してたかって?絶望に暮れてゴロゴロしてた だけですけどッ!?なんスか、文句あるんスか!?
もう切り替えたので大丈夫ですよーだ。
とりあえず現状報告。今の私の身体は四つん這いで歩行している。そして皮膚には柔らかいが鱗のようなものがあり尻尾も翼もあります。そう!ドラゴン!
地球でも伝説上に出てきたあのドラゴン!あのカッケェェ存在だと思う。
でも、この身体すごく不便です。私の出てきたあの卵から察してもこの身体は幼体(子ども)だと思うんだけど、足は短くて歩くとコケるし翼は小さくて飛べないし………いいとこないじゃん!このままモンスターに出会ったら私、速攻死ぬよ!?まじで!
あーお腹空いた。喉が渇いたらそこの水溜まりのを飲めば良いけどお腹空いた。……そういえば、水は綺麗なのかな?ま、まぁいいや。
普通は産んだ親が食べ物持ってきてくれるんだけど私の卵の周りには足跡もないし数時間経っても何も来ないし私って捨て子?
とりま、ここから出てみるか……洞窟の穴は一つしかないしここからしか行けないよね。
…………あ痛ッ!
穴から出ようとした時、何かにぶつかった。けどそこには何もない。けど確かに壁のようなものが……何コレ?
あぁもう返して!私の覚悟を返して!実際はここから出るのすぐ怖かったの!けど、何も進展ないしお腹空いたし、だから出なきゃ行けないって思って覚悟決めたのにぃ〜〜!なんなの?今日は厄日なの!?
にしてもこの見えない壁どうしよう。気になるな……
ポロン…
え?何の音?…………あ、あれ!?ステータスの更新とか?
えーとじゃあ、ステータスオープンッ!
名前 ???
年齢 0歳
種族 竜種 幼竜
固有能力 『黒死咆哮砲』
能力 《威圧》《竜鱗》《肉体還元》《鑑定》new
称号 【受け継ぎし者】
本当に開いた。頭の中に表示されてる。それに、おおぅ……なにか物騒なものがあるぅ。『黒死咆哮砲』てもう死って付いちゃってるね、OUTだね。まさかそれが転生ボーナス?コワッ!
んと、能力の《鑑定》っていうのが今の音の正体かな。鑑定とか定番の能力だね良かった。案外能力は簡単に手に入るのかな?
とりあえず見えない壁に向かって……見えないけど鑑定使えるの?…………使えば分かる!能力・《鑑定》起動ッ!
《鑑定結果》古竜結界・・・古の竜が掛けた結界、大事なものを守るときに使う。この結界は外からも中からも解除は困難。
……なるほど、『解除は困難』ですか。ふむふむ、甘く見られたものだ。我が固有能力の力を見せてやろう!
固有能力 発動!
喰らえ、『黒死咆哮砲』!!
ドゴォォォォン――――――
……あーえっと、結界とか面倒くさそうだから適当に固有能力使ってみたんだけど結界は壊せたみたい。けど、『黒死咆哮砲』やばかった。咆哮って言うぐらいだから口開いたらすごい勢いで黒い光の様なものが放たれた。結界なんか溶けよ、もう溶け。それに黒い灰みたいのが待ってるし……
《鑑定結果》黒死灰・・・死を招く者によって行使された死の力の残骸。せめてもの慈悲にと降る『黒死灰』は黒く、微小だが死の力を宿しており、この灰が降る土地の動物や植物の生命を徐々に奪い苦しめ、最後には土地もろとも死へと誘う。
あはは、何…死の力って。これは封印能力かな。とりあえず結界を壊したことだしここを出ますか。
何事も前向きにってね。
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『黒死咆哮砲』……死を司る者の無慈悲なる咆哮、その力は生命を持たないものにすら終わりを告げる。放った後に残るのは死の力により降り注ぐ黒死灰のみ。