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第2話 夢の為に物件探しを始めました(2)
「う~ん、今当社の方では、お客様が御要望しているような物件の取り扱いの方はないですね……」と、
お店の人。不動産屋さんのおじさんは、自身の持つファイルのページを巡りながら。
そう、彼は、自身がかけている眼鏡のずれ──。鼻の下の方へとずれた眼鏡を、自身の持つ指先一本で。下へとずれたメガネを上へと直し、修正しながら僕へと教えてくれたのだ。
そして僕へと説明を終われば、不動産屋のおじさんは、もう一つ提案を僕へと告げてきたのだ。
「お客様? 店舗付き住宅の賃貸物件の方は、今家には無いのですが。貸し店舗の物件ならあるのですが。そちらの方はどうでしょうか?」とね。
だから僕は直ぐに、不動産屋のおじさんへと。
「まどりはどんな感じなのですか?」と。
訊ね返したのだ。
「えぇ~と? こんな感じの物件なのですが?」