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第5話 悪役令嬢はゲームの内容を思い出す2

 昼食を終えたフレデリカは、「次はおやつの時間に伺います」とアルフレッドに言われ、部屋に戻りまた机に向かった。


 よし、次は攻略キャラを思い出さなきゃね。

 攻略キャラは全部で四人。


 ■シルヴァント=エメラルディア

 エメラルディア王国の第一王子で、次期国王。皆からはシルヴァント様とか殿下と呼ばれている。

 金髪碧眼のザ・王子って感じの人。かっこいいし、優しい人。部下に対しても優しいし、明瞭快活。

 フレデリカの婚約者だが、主人公に会い、今までに会ったことのないタイプで心惹かれていく。


 まあタイトル通り、このゲームのメイン攻略キャラ。


 ……確かに彼はカッコいいし、人気もあるキャラよ。でも私の中で彼は、アルフレッドには遠く及ばないわ。アルフレッドは本物の王子様より王子様なのよ‼︎



 ■イーバン=ヴァリアーヌ

 次期ヴァリアーヌ侯爵家当主になる予定の者。私の婚約後、すぐに妹の婚約者となる。

明るい黄色がかった茶色の髪と瞳。髪は癖があり跳ねている。明るく皆に好かれるタイプだが、軽い。女性を口説く=挨拶みたいなやつだ。

 それが主人公に出会って、初めは興味本位にからかっていたが、次第に本気になっていくという。


 チャラいキャラが、主人公に一途になるのは乙女ゲームではあるあるよね。

 でもあんな可愛い妹を捨てて、主人公との恋に走るなんて……許せない。


 ■レイニー=ウェザディルディ

 一つ上の先輩で、魔法にすごく長けている人。ゆくゆくは王宮筆頭魔術師も夢じゃないと言われている。

 濃い紫の髪と瞳でいつもポニーテールにしている。前髪は少々長め。

 主人公から不思議な魔力を感じ、興味を持つ。

 この不思議な魔力ってのが、後に神聖魔法を使えるからって分かるんだよね。


 物静かで優しい先輩なんだけど、実は腹黒いのよね。

 二面性のあるキャラも鉄板よね。私は結構そういうキャラ好きよ。……アルフレッド程じゃないけどね。


 ■フレゴリュー=ボルクドゥルゴ

 騎士団長の甥。馬鹿がつくほど大真面目で熱い男。燃えるような赤い髪に茶色の瞳。

 おっちょこちょいな主人公をよく助けてくれる。それがキッカケで仲良くなって恋していくのだ。


 良い人なんだけどねー、私あんまり熱いキャラに興味が湧かないのよね……。寧ろ騎士団長のが、カッコよくて私は好きだわ。何故騎士団長を攻略キャラにしなかったのか、それも謎よね。


 攻略キャラはどのキャラも人気だったし、キャラとしては良いとは思うんだけど、こればっかりは好みの問題よね。

 私はアルフレッド派なの‼︎アルフレッドが攻略キャラじゃなくて残念がってた人も、私以外にもたくさんいるから、アルフレッド派はきっと多いはずだわ‼︎


 ……話が逸れたけど、先輩二人にはフレデリカはあまり関係ないし、婚約破棄にならないし、気にしなくても良いかもね。



 取り敢えずゲームの情報はこんな感じかしらね。また、思い出したら書き留めよっと。


 えっ?アルフレッドを忘れているですって?

 ふふふっ、アルフレッドのことはちゃんと頭に刻まれているから大丈夫よ。それに、書き出したら何ページに及ぶか分からないから、書くのが怖いわ。


 私は自問自答し、変な笑みを浮かべていた。側から見たらきっと気持ち悪いだろう。


 私は時計を見た。もうすぐおやつの時間ね。そういえばマーガレットは、今日は何をしているのかしら?一緒にお茶出来たら良いんだけど。

 私はマーガレットと、仲良くなりたかった。

 前世の私は、二人姉妹でぶっちゃけシスコンだった。めちゃくちゃ妹を可愛がっていた。目に入れても痛くないくらい可愛がっていた。私は妹という存在に弱いのだ。

 だからゲームをしている時も、イーバンのルートは辛かった。主人公の妹ではないが、妹キャラのマーガレットが傷つく姿を見たくなかった。

 でも私がいるから大丈夫。主人公にイーバンルートには行かせない。マーガレット、お姉ちゃんが守ってあげるからね。


 フレデリカになってから、まだあまりマーガレットと会話をしていないが、心はもうマーガレットのお姉ちゃん。

 マーガレットと仲良くしたくてうずうずしているのだ。


 私はいそいそしながら部屋を出た。部屋を出ると、アルフレッドが廊下を歩いていた。


「お嬢様。ちょうどおやつの時間のご連絡に伺おうと思っていました」


「あら、そうなのね。ねえ、マーガレットは今日屋敷にいるかしら?」


「マーガレット様なら部屋におられるはずですが。宜しかったら今日はお天気もいいですし、お庭でマーガレット様とお茶を楽しむのは如何ですか?」


「それは素敵ね。早速準備をお願いね」


「畏まりました」


 こうして私は、庭へと向かった。


 私は庭で待っていると、マーガレットが来た。


「マーガレット‼︎」


「お姉様、お誘いありがとうございます」


 オレンジがかったピンクの髪と瞳。髪は毛先が内側にくるんと巻いていて、肩くらいの長さ。大きい瞳が愛くるしい。年は私の一つ下でしっかり者。ゲームでは昔から、イーバンに恋心を抱いていたことになってたけど……。


「お嬢様方、お茶の用意が整いました。本日のケーキはチーズケーキです」


 アルフレッドは紅茶とケーキを並べていく。


「楽しいひと時を」


 アルフレッドは私にウインクをして下がった。私がマーガレットとのすごくお茶を楽しみにしているのが、伝わっていたみたいね。流石アルフレッド。


 私たちはたわいない雑談をして、この時間を楽しんだ。

 そして、私は気になっている事を質問した。


「ねえ、マーガレット。貴方はイーバンの事をどう思っているの?」


 マーガレットの紅茶を飲む手が止まった。表情が少し硬い。マーガレットは紅茶をテーブルに置いて私を見た。


「そういうお姉様はどうなのですか?」


「えっ?」


「イーバンとお姉様は昔から仲が良かったし」


 もしかして、私とイーバンの仲を疑っているの?


「なーに言っているのよ。私はイーバンの事をなんとも思っていないわ」


「本当に?」


「ええ。全然、これっぽっちも思っていないわ」


「……良かった」


「マーガレットは、イーバンの事が好きなのね」


「……はい」


 マーガレットは頬を染めて、恥ずかしそうに答える。ああーー、可愛い‼︎今すぐぎゅーって抱きしめたい‼︎

 私は衝動を必死に抑えた。


「私は二人の事を応援しているわ。ヴァリアーヌ家の事は二人に任せるわね」


「ありがとう、お姉様。……でもイーバンは……」


 マーガレットは何か言いたげにしている。どうしたのかしら?


「フレデリカ‼︎」


 すると突然、イーバンが現れた。何故今現れた。折角の妹との大切な時間を、ぶち壊しやがって……‼︎

 まあ良いわ。このまま妹との婚約を固めてしまいましょう。


「どうしたのかしら、アポもなしに突然」


「あっ、ああ。すまない。言うか迷ったんだが、今言わないと後悔すると思って来たんだ」


「?何を」


 するとイーバンは跪き、私の手の甲にキスをした。


「フレデリカ、好きだ。ずっと前から想っていた。オレと結婚してほしい」


 はっ⁈なに言ってるの?ってかそのセリフはアルフレッドが考えた、貴方がマーガレットに言うセリフよー‼︎


「……君と結婚出来ないのは、理解している。君は昨日、殿下のプロポーズを受け、明日婚約発表パーティーがある。でもこのまま自分の気持ちを伝えずに、君が婚約するのは我慢出来なかったんだ」


 私の事が好きですって⁈意味が分からないんだけど……。


「婚約前にオレの気持ちを知っておいて貰いたかったんだ。殿下との婚約に割って入る事は出来ないが、殿下と無事結婚するまでは、この恋心を抱いていても良いだろうか。万が一だが、婚約破棄なんて事があった場合は、オレと結婚してほしい」


 これは、殿下と婚約破棄出来ても、結婚相手がイーバンに変わるだけって事⁈

 そんなの困るわよーー‼︎


 私はマーガレットの方を見ると、目に涙を浮かべている。ああ、マーガレット泣かないで。お姉ちゃんは妹の涙に弱いのよ。

 マーガレットは口元を押さえて、去って行ってしまった。

 マーガレットーー‼︎


 それもこれも、全部貴方のせいよ、イーバン。絶対に許さない……‼︎


 私はイーバンを睨みつけた。


「イーバン。貴方なんて事を言うのよ。マーガレットがいるところであの言い方。あんなのマーガレットが可哀想じゃない‼︎私が婚約したら普通はマーガレットと貴方が婚約するのよ」


「⁈それは……軽率だった。すまない」


「私にじゃなくて、マーガレットに謝んなさいよ‼︎良い加減に私の事は諦めなさい‼︎貴方は昔から……」


 昔から……?何?

 私は奇妙な事を口走った。


「痛っ……」


 私は急な頭痛に苦しみ、その場に倒れた。


「お嬢様っ‼︎」


 アルフレッドは私の元に駆けつけ、抱き上げる。

 アルフレッド……。ああ、そんな心配そうな顔をしないで。


 私は青ざめたアルフレッドの顔を見るのを最後に、意識を失った。

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