表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/40

第24話 悪役令嬢は主人公とお茶をする

「何の御用かしら?」


 私はなんとか冷静を装い、リリアナに聞いた。


「用と言われましても……。こちらでお茶を飲みたいなと思ったのですが、席が空いておらず。たまたま、フレデリカ様のお姿が見えましたので、相席したいなと」


 リリアナはにっこり微笑んで答えた。

 嘘だ。絶対何か用があるに決まっている。私の中で彼女は、転生者の可能性が高いと踏んでいる。

 私はテーブルに紅茶とケーキが届くとアルフレッドに話しかけた。


「私は暫くリリアナさんと二人でお茶を楽しむわ。貴方はカフェの仕事に専念なさい。このテーブルには近づかないように」


「お嬢様……」


「アルフレッド」


「……はい、畏まりました。何かありましたら、すぐにお呼びください」


 アルフレッドは何か言いたげだったが、私の命を聞き下がった。


「さあ、貴方のお話になりたいことを思う存分お話なさい。あの後私がどこに行くかは、あの場にいたものは皆知っていた。あの場では聞けないことがあったから、私を追いかけてきたのではなくて?」


「フレデリカ様……。はい、御察しの通り、お話があって参りました」


 さあ、どんな話よ。心の準備は出来ているわよ。

 リリアナは深呼吸して話し始めた。


「私、フレデリカ様みたいな女性になりたいんです」


「はいぃ?」


 おっといかん、つい地が。


「私はご存知の通り、つい先日伯爵令嬢になったばかりです。学園に来て、皆さん素敵な人たちばかりで。私も立派な淑女になりたいのです。ご教授をよろしくお願いいたします」


 彼女は深々と頭を下げた。

 私は拍子抜けした。絶対前世がらみかと思ったのに。私に淑女の嗜みの教えを請いたいと。

 ゲームでは主人公はフレデリカのように立派な淑女になりたいと願っていた。確かに共通ルートでは、マナーについてフレデリカに叱られていたシーンはあったはね。でもこのように直に頼みに来るなんて。

 それに、フレデリカは進んで教えていたわけではなくて、目について耐えれないから注意しただけよ。主人公と仲良くしようとは……あれ?していた?

 ……もしかして、フレデリカって主人公と仲良くしたかった?

 確かに、皆に自然と好かれて、いつも輪の中にいた主人公を羨ましがっていた気がしないでもない。正直殿下とイーバンルートのフレデリカの主人公への怒りが目立って、序盤のフレデリカはすっかり忘れていたわ。

 やだ、自分のことなのに。だって、描写が少なかったんだもん。


 フレデリカさん、もしかしてツンデレなのかしら?


 しかし、主人公が入学式にいるから変な感じね。どう対応して良いのか悩むのだけど。

これは、やはり私の行動がこの世界の未来を変えてしまったのかしら?


 てっきり転生者だと踏んでいたのだが、それならこのような事言うかしら?転生者と言うのは私の勘違いだったのかしら?それともそれを悟られないように、わざと言っているの?

 ……ああ、ダメだ。いくら考えても分からない。ここは、フレデリカらしい態度をするしかない。気取られてはいけない。


「何故私が貴方に教えなくてはいけないのです。クラスも違いますし。教える義理はございません」


「確かにそうかも知れませんが……。私は初めて貴方を見た時、衝撃を覚えました。こんなに美しい人がいるなんて、と。貴方が殿下の婚約者だと分かり納得致しました。貴方以上の素敵な淑女はいない。殿下に一番ふさわしい方だと思いました。そんな方にこのような頼み事は恐れ多いのですが、貴方は私の憧れです。少しでも、貴方に近づきたいのです。どうかお願いいたします」


 彼女は再度頭を下げた。えっ、これって攻略キャラに好かれてるみたいに、主人公にも好かれたの⁈一体何が起きてるの⁈


「取り敢えず、頭をおあげなさい。……勝手に私の振る舞いを盗めば良いわ。気が向いたら、注意してあげますわよ」


 取り敢えず、先程私の中でフレデリカ=ツンデレになったので、それっぽく振る舞ってみた。

 よく考えたら悪役令嬢って基本主人公視点だとツンツンだけど、時折デレ?が垣間見えるキャラ結構多い気がする。


 フレデリカはツンデレってより、ツンツンツンデレくらい?


「ありがとうございます。私これからフレデリカ様の側にいると思いますが、気にしないでください。……あっ、何か気になるところはビシバシ仰ってください」


 ああ、目を輝かせて言っている。そんな子犬みたいに見てこないでよ。幻覚で、尻尾と耳が見えてきたわ。尻尾振って喜ばないでーー‼︎

 こうして私は、何故か主人公にも好かれてしまったのだった。


 ーーそう、彼女の真意にその時の私は気づくことが出来なかった。後に私はそれを酷く後悔することになるが、今はまだ知る由もない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ