再会
結局、嫌がらせについてこれといった行動を起こすこともなく夏休みを迎えようとしていた。
クラス全体が浮かれきって早く来ないかと待ち遠しい思いを抱いている。
「えーと、皆さん3日後にはついに夏休みです。その間宿題はちゃんとするように!あと、学園の恥となるような行動は謹んでください。」
このように先生が注意するこの時間さえももどかしく感じる。それは前世でも今でも同じであった。
「―それでは、皆さんさようなら。」
さようならと皆が挨拶をして教室を出ていく。
「王女様、行きましょう。」
私もいつの間にかいたマリッサに声をかけられ教室を出る。
「ええ、そうね。」
そして、校舎から出て正面玄関の方へ出ていこうとしていると、そこにはショーンがいた。
「あら、なにをしているの?」
本当は飛びついたり無邪気な子供のように甘えたかったが、それをすることは何故か気恥ずかしくできなかった。
「あ、王女殿下。今日もまた学園長と話がありまして……」
呼び方が、王女殿下に戻っている……その事が思いの外心に響いたがそれを無視して、
「そうなんだ……あ、ねえ!近いうちにまた会えない?」
そう尋ねた。
2ヶ月前のお詫びも結局出来ないままなので、何かしたいという思いと彼のことをもっと知りたい、とにかく色々な思いが混ざっていた。
「ええ、いいですよ。いつがよろしいですか?」
「じゃあ……来週とかはどう?」
「来週ですね……水曜日はいかがでしょうか?」
この世界も日本と同じく、1年は365日の12ヶ月、太陽暦と似たようなソレイユ=レミゼ暦が使われている。名前が変わっただけで中身はほぼ太陽暦である。
「分かったわ、水曜日に貴方のところに行くわ!じゃあ、またね」
私は、早々に約束を取り付けて足早に彼から離れる。心臓がいやに鼓動を早め、ドキドキとうるさく聞こえてきた。