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ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科4年生
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誰にだって悩みはあるさ

反省会が終わった後、私はヘトヘトに疲れた状態で特別監査室に行った。

正直今日は散々な日だ……今日は仏滅に違いない!と私は心の中で思った。


「ねえねえ……あら?なんか人が少ないね」


アベルやションちゃん、いつもはうるさいヘンリーがいないので部屋はシンとしていた。

部屋にいるのは、ジューンとパレスくん、カール=ペンヨーク伯爵とヨハン=ガブリエール伯爵の4人、いつも目立たないメンバーだった。


「王女、いろいろとあったんですよ。」


お茶を用意しながらジューンは優しい口調で言った。


「いろいろって?」


「南の隣国カオレエア王国がウチの領土に侵入してきたんですよ。それでベアドブーク公爵が駆り出されてるんですよ」


「まあ………」


お茶をカップに注いでいるジューンの代わりにカール様が答えた。

レミゼ王国は縦長な三日月のような形をした国でいくつもの国と隣り合っている、その1つがカオレエア王国である。

カオレエア王国、レミゼの南に有りレミゼと比べて土地もやせていて食物もとれないので領土に侵入してきたり技術を盗んだりとやりたい放題な国だ。


「迷惑ですよ、本当に。私は教育府担当だから他人事の様に言えますけど私が外務府の担当だったら泣いてましたよ」


「ガブリエール伯爵、他人事ではありませんよ。彼らの行為が私達に悪影響を与えているという事実がありますから」


カール様はガブリエール伯爵を諌める。


「……ヘンリー今頃泣いてたりして。」


「あり得ますねぇ、それは。私もその事でさっきまで大忙しだったんですよ………こんな事になったのに辺境の軍備増強に反対する輩がいるから」


腕組みをして考える仕草をしながらパレスくんはため息をついた。


「……いろいろと忙しいのは分かったんだけど、どうしてションちゃんまで居ないの?ションちゃんは農林産業担当でしょ?」


ふと気になった事がある。

今回のカオレエア王国の領土侵入と農林産業は関係無いと思う。


「ああ、オンリバーン侯爵?今年はジャガイモの不作でいろいろとあったんですよ。」


「問題っていろいろと重なるのね……。」


はぁっとため息が部屋に広がる。


「こんなにも不幸が重なって泣きそうにならない?」


突然ふいにパレスくんが泣き出した。


「泣きそうですよ……。クロは最近来てくれないし仕事は忙しいし……。」


「コノユライン子爵、泣いてますよもう。」


「というかこれ以上室長を怒らせない方がいいと思いますよ?」


「私、猫苦手なんですよね……」


他の3人が突っ込みを入れる。いや、最後は突っ込みでも何でもないただの趣味嗜好の話だと思う。


「ああ!今ので思い出したんですがこういう気分が落ち込んでいるときは悩みを共有して笑い合うのが大事らしいですよ?」


ジューンは唐突にこんなことを言う、一体今までのどこにそれを思い出す要素があったのだろうか?


「なるほど……悩みですか。最近髪が薄くなってきたんですよ、ねえコノユライン子爵。」


「ちょっと!ガブリエール伯爵何故私を見るんですかぁ」


ガブリエール伯爵の悩みは薄毛っと……。


「薄毛……聞くところによると毛根を刺激したらいいらしいですよ?」


「ジューン、それよく言われてるけど返ってストレスになりそうよね」


ヘアブラシでトントンと頭を叩くことはよく増毛出来ると聞くが本当に効くのだろうか


「経験者から言わせてもらうとそれは効きませんね。私の場合は何事も気にせず薄毛を受け入れる事が1番の効果法でしたね」


「ペンヨーク伯爵……。そうですよね、コノユライン子爵、私達も薄くなろうがどうなろうが気にしないで生きていきましょう」


「ですから何故私を見るんですか!?」


………………。


「まあ、問題は解決したようですし次は私ですか。私はなんか最近物忘れがひどくなっているんですよね………。」


カール様の悩みは物忘れっと………。


「ペンヨーク伯爵はもう64歳、多少は物忘れが有りますよ!これも気にしたら負けです。」


物忘れなどの心身の衰えはは人間である以上誰にも起こりうること、確かに気にしたら負けなのかもしれない。


「なんか、こんなことを話してたら悲しくなってきましたよぅ!今晩は一杯飲みません?」


「「「いいですね」」」


パレスくんの提案に3人は賛成の様子で皆、バタバタと用意を済ませて出ていった。


「なんなのよ………。本当に」


男たちの切り替えの速さに私は驚きやれやれと呆れた。


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