表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科4年生
72/229

残念さは一体どこから

あのお忍びから数日後の昼に私はシス王女と話す機会があった。


「で、どうだったのよ“デート”は」


シス王女はニヤニヤしながら聞いてくる。


「いや、別にデートじゃないですよ?」


「またまた~!………あんたなんてまだ恵まれてる方よ、私なんて今年で21なのに相手すらいないんだから」


なんだか触れてはいけないところに触れてしまったようだ。


「シス王女、やっぱりこの国ってチグハグな感じしません?漫画や瓦版とか一部存在しない言葉があるんだよ」


私は慌てて話題を変えた。


「ん~、確かに……。シベリアって大正時代のお菓子じゃなかったっけ?レミゼって変な所いっぱいよね」


アジサイに似た花や前世を思い出すものがある一方で漫画などの一部の言葉が存在していない。


「なんなんだろう………。」


「それについても気になるんだけど、もう1つ気になるのは弟のことよ」


イチヤ王子のこと?


「あんたも気づいているんじゃないの?アン王女と弟の事、あの2人絶対なんかあるわ」


「ああ、その事。別に2人がどういう関係でも私は気にしません、そもそもイチヤ王子が私の想いを黙っててくれてること自体が御の字ですから。仮に彼がお姉さまと想いあっているとしても私にそれを止める資格なんてありませんわ」


「………あんたはそれでいいの?私的にはあのお姉さまよりもあんたの方が良いわ」


「何故ですか?私よりもお姉さまの方が王妃は似合っていると思います。」


私と姉を比べても分かることだ、あっちの方が成績優秀、容姿端麗……王妃としてもやっていけそうな気がする。


「私が個人的に嫌いなだけかもね、なんかこう小悪魔っぽい属性の子嫌いなのよ私。」


……なにかトラウマでもあるのでしょうか?と聞きたかったが、シス王女の顔がとても怖かったので私には聞く事が出来なかった。

シス王女はこの話は終わりといった感じにヒロインちゃんの事を聞いてきた。


「それで、ヒロインちゃんはどうしてんの?まだフェルナンドを狙ってるの?」


「その事ですか………。」


実は最近お兄様の護衛の一部をヒロイン監視部隊とすることが決まった。フェルナンド様はお兄様に近い立場にいるので彼女がなにか動きを見せたときにお兄様が危険な目に遭うかもということで決まったらしい。


「で、これが報告書です。」


「なんかやけに分厚いね。…………………なんなのこの残念さ、貴女ヒロインでしょ」


シス王女が見ているところを覗きこむと、

『8月22日朝10時頃、侍女に夏休みの宿題を押しつけて王都へ遊びに行く。その後カツアゲ、クレーム等を行う。__以下略__が本日の動きです。』


「やってることが完全にいじめっ子とかクレームおばさんだわ」


見なければ良かったとシス王女はげんなりとした様子で席を立った。


「確かにこの残念さは一体どこから……」


誰もいなくなって1人で考えていると


「よう、ベス……どうしたんだその顔?」


ヘンリーだった。

私はあのヒロインの事だと話した。


「あ、あのメイデン子爵の所の子か。レオンが言ってたな……変な先輩がいるって」


「レオンって確かレオン=バルベシュタインのこと?確かヘンリーの甥だったっけ」


未だに会っていない攻略対象の1人、噂によれば病弱でたまにしか学園に来ていないらしい。


「病弱はそういう設定なの、あいつはいたって健康的だよ」


ではどうして学園を休んでるんですか?


「バルベシュタイン家は荒れに荒れてるんだよ。なんかレオンが女に目覚めただとか何とかで妹に泣かれちまった、レオンがこんなにもなったのはお兄様のせいですって……トバっちりだよな」


これは話題的に深く関わってはいけない所ですね。


「ヘンリーのせいではないと思うけど、なんか大変なのね」


「あいつ、今初等科の3年生だぞ。俺だって色恋の事はもうちょっと遅かったぞ」


………私はその後ヘンリーの愚痴を聞かされるはめになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ