変な人
なんで私の周りには変な人が多いのだろうか……。前世からそうであった、問題児や変人の集まりだったような気がする。
今世は前世に比べればキャラの濃い人はいないと思う、私の感覚はおかしいのだろうかと考えた。
(いや、いや前世が濃すぎたんだよ……)
私の前世についてはまたいつか語る機会がどこかであるだろうから今は敢えて言わないでおく。私は高校2年生の時に死んだのだが小学の時から周りにはキャラの濃い人が多かったように思う。
(プッチンプリンを先生に投げつける強者もいたからなぁ……)
ちなみにその後「プリン禁止令」が出たが別の強者がババロアを持ってきたので意味はそんなになかった。
「ねえねえ、私の周りって変な人多くない?」
特別監査室で私はその疑問を投げかけてみた。
「そうか?ベスの周り……あのメイデン子爵令嬢くらいじゃないか」
「エリザベス王女の周り………いませんね。」
「学園にどのような方がいるのか分からないのでなんとも言えませんね。」
ヘンリー、アベルやションちゃんは微妙な反応、
ジューンはよく分からない絵を描いていてパレスくんはもうすっかり特別監査室に居着いてしまったクロを撫でている、カール様は2階の方から話しかけるなというオーラを出していた。
「ベスの周りが変になってるんじゃねぇの?王太子様とかなんか最近、猫語が分かるんだ!とか変なこと言ってたじゃん」
「……確かに、シャルルはどう思う?」
私は後ろにひかえていたシャルルに聞くが
「さあ?分かりません。」
と言われた。
そういうものなのかと思っていると玄関から男が入ってきて、
「皆さん!喋ってないで手を動かしてください。特にコノユライン子爵、貴方はその猫どうにかしてください!」
と言う。
教育府担当のヨハン=ガブリエール伯爵だった、普段はのほほんとしているが今は何故か苛立っているようだった。
ジューンの描いてた絵を真っ二つに破り捨て、パレスくんの膝の上に乗っていたクロを外に追い出した。
「「ああああああ!!!!!」」
2人の絶叫が響き、皆がもみくちゃになり争っている。
「ベス、ちょっと俺とどっかで話そう……」
「ぇ、ちょっと、ヘンリー!」
ヘンリーは私の返事も聞かないうちに私の手を引っ張り特別監査室から出て人目につかない木陰で話を切り出した。
「あの坊主がいないうちにベスに聞いておきたい事があるんだけど……」
シャルルは今はいなく2人きりである、何か2人でないと話せないことなのだろうか?
「何?」
「ベスはさ、あの、えっと__」
ヘンリーが質問に入ろうとした途端
「エリザベス王女!!」
シャルルの声だ、無事抜け出してこれたようだ。
「そういえばヘンリー、何が聞きたかったの?」
もう1度ヘンリーの質問を聞き直すが
「いいや、やっぱり何でもねぇ。そんな大したことじゃないしまた今度にしよう」
ヘンリーは振り返ってチラリと私を見たあと、そのまま私達を置いて特別監査室の方へ戻っていった。
「ベアドブーク公爵、一体何の用だったんですか」
「分からないわ」
振り返った時のヘンリーの顔は何か納得のいかないような顔だった気がした。




