気になる
そして、ショーンと別れたあと私は自分のクラスに向かい、そのまま授業を受けて馬車で帰る。普通の学校生活を送った。
「王女様、授業はいかがでしたか?」
「う~ん、2週間分の学習はちゃんとしないといけないわね」
マリッサが嬉しそうに微笑む。
「あ、それと頼んでいたものは?」
「こちらに、」
それは、ショーンについての調査書だった。
ショーン=オンリバーン(38)
身分:オンリバーン侯爵/特別監査室室員
評価:各王政府別の評価
農林産業◎/財務⚪/外交⚪/民部△/軍部⚪/法曹⚪/内政⚪
「………なるほど、つまりはとても賢いのね。それと、この特別監査室って何?」
「ああ、確か1週間ほど前に新しく創られた宰相直属の補佐組織で、室長は各大臣方と同じくらいの権限があるのだとか……。簡単に言えば中立派を集めた各王政府へアドバイスを行う組織でしょうか。」
この国の貴族には派閥が存在する。国王派と反国王派、そして中立派。
国王派は文字通りである。あの服の趣味が良くない父に従う人達である。大臣かそれに準ずるクラスの人、比較的身分の高い人が多い。
反国王派は、建前上は父のことを王とは認めない、本音は兄を王に祭り上げて傀儡にすることを目的とした集団である。伯爵以下の貴族が多い。
そして、そのどちらにも属していない人達が中立派である。その中にはどちらかの考えに共感はできるが、争いに巻き込まれたくないという理由でここにいる人もいる。
「へぇー、私が熱で寝込んでいる間にそんなモノが出来たのね。」
しかし、今の宰相は中立派。その宰相の元に大臣級の権限を持つ組織を置くのは危険ではないのか……下手すれば三つ巴になるのではないかしら。
「まぁ、それはそれということにしておきましょう。ああ!そうだわ。ショーンに何かお詫びをした方がいいわね。何がいいかしら……」
「王女様!そろそろ寝る時間ですよ。また今度お考えになってくださいませ」
マリッサに怒られて、私は渋々布団に入った。